U-NEXTで配信されている『オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-』。全16話なのだが、第1話からメチャ面白い展開が続くので、まとまった休みが取れる連休に最適なドラマとなっている。
【関連】百想芸術大賞の候補作となった『オク氏夫人伝』の最強ポイントは何か
主役のイム・ジヨンが演じるのは、悲哀の中で生きる奴婢クドクである。彼女は冷酷な両班(ヤンバン)のもとで、理不尽な暴力と屈辱にまみれた日々を送っていた。だが、そんな地獄から脱し、人生を揺さぶる奇跡的な出会いを果たす。
やがて、クドクは名門の血筋としてオク・テヨンと名を変え、知性と情熱を武器に外知部(ウェジブ／法律の弁護人)として活躍していく。このように、彼女は弁舌と正義感で民を守る存在となったのだ。
そんなオク・テヨンの人生には、強く心を揺さぶる3人の人物が関わっている。1人目は芸人として民衆の心をつかむチョン・スンフィ（演者チュ・ヨンウ）。彼はかつてクドクを密かに慕い、命を懸けても守りたいと願った男である。
しかし、オク・テヨンが結ばれたのは、チョン・スンフィと瓜二つのソン・ユンギョムであった。これは身分を隠すための苦渋の選択だった。だが皮肉な運命は、逆賊の汚名をソン・ユンギョムに着せ、彼は行方不明になってしまう。そして、愛と混乱の渦の中、チョン・スンフィがソン・ユンギョムに成り代わるという劇的な流れになっていく。
そのソン・ユンギョムの実弟が、秀麗な頭脳を持つソン・ドギョム（演者キム・ジェウォン）である。彼は科挙を首席で突破した文の英雄。行方知れずの兄を探すために遠く清国にまで旅立つ行動派でもある。幼き日、オク・テヨンに守られていた記憶を胸に、彼女に深い恩を感じて生きている。
ソン・ドギョムの妻となるのが、謎めいた美しさを持つチャ・ミリョン（演者ヨヌ）である。彼女は母の無念を晴らすためにソン・ドギョムに近づいたが、冷たい復讐の中に芽生えた真実の愛に心を揺さぶられ、やがては結ばれる。しかし、策略から始まったこの愛は、静かな幸せを許すことなく、次々と波乱の渦を呼び込む。
こうして、重くも鮮やかな人生の絵巻が続いていく。『オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-』は本当に、まれにみる傑作である。
文＝康 熙奉（カン・ヒボン）
■【関連】歴史オンチも感服する『オク氏夫人伝』の重要キーワードは「両班」と「科挙」
前へ
次へ
