チョン・イルが主演した『ヘチ 王座への道』は、主に1720年代を舞台にしていた。特に前半は朝鮮王朝の20代王・景宗(キョンジョン)の在位した時期が描かれていた。そのとき、チョン・イルが演じた延礽君(ヨニングン)は世弟(セジェ/王の正式な後継者となる弟)という立場だった。
ドラマの中で延礽君は多くの対抗勢力によって厳しい境遇に置かれていた。それは、史実に基づいた描き方であり、彼は理不尽な問題を一つずつ解決して自分の人生を有利に導いていった。
歴史的に言うと、延礽君は1724年に景宗が世を去ったあとに、21代王の英祖(ヨンジョ)として即位した。そのとき、彼は30歳になっていた。このように、『ヘチ 王座への道』は英祖の20代後半の人生がクローズアップされていたのだ。
一方、英祖を取り上げている時代劇の中で特に人気が高いのが『イ・サン』である。このドラマは、暗殺の危機にさらされた世子(セジャ)がやがて名君になる過程を丹念に描いており、イ・ソジンがイ・サンを演じていた。その中で印象的だったのが、重鎮俳優イ・スンジェが演じた英祖だった。
特に、序盤では英祖が息子の思悼世子(サドセジャ)を米びつに閉じ込めて餓死させてしまう事件が取り上げられていた。このときの英祖は、まさに若き日の延礽君の晩年であった。事件が起きたのは1762年のことで、『ヘチ 王座への道』のときの延礽君から40年くらい過ぎていた。その期間に英祖は名君として偉大な実績を残していて、大王と称されるほどの存在だった。
結局、英祖は52年間も長きにわたって王位に就いていた。朝鮮王朝には27人の国王がいたのだが、80歳を過ぎても生きていたのは彼だけだった。それほどに、一番長寿の国王だったのである。
そんな彼の人生を描くうえで、『ヘチ 王座への道』と『イ・サン』を順番に見ていけば、時系列が合うようになっている。英祖の若き日と晩年を扱っているという意味で、二つの時代劇には明確に歴史的な関連性があるのだ。
文=康熙奉(カン・ヒボン)
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