『赤い袖先』の反逆家臣が実在した!! そのモデルの正体とは?

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傑作時代劇『赤い袖先』を見ていると、イ・ジュノが演じるイ・サンに敵対する勢力の代表としてホン・ジョンヨという高官が登場する。俳優のチョ・ヒボンが演じている。

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このホン・ジョンヨはドラマ用の名前であり、歴史的には洪麟漢(ホン・イナン)と言う。左議政(チャイジョン/現代でいえば副総理)を務めた高官であった。

彼はイ・サンの母である恵嬪(ヘビン)・ホン氏の父・洪鳳漢(ホン・ボンハン)の弟だ。つまり、イ・サンの大叔父に当たる立場の人なのである。それなのに、なぜ洪麟漢はイ・サンに歯向かったのか。それは、彼が老論派の重鎮としてイ・サンの即位を阻止しなければならない立場であったからだ。

そんな洪麟漢が英祖(ヨンジョ)の前で、世孫(セソン)であるイ・サンを強く非難したのは1775年11月20日のことだった。この日、英祖は重臣たちにこう言った。

「まだ若すぎる世孫であるが、老論について知っているだろうか。少論について知っているだろうか。国の政治というものを知っているだろうか。兵曹判書(ピョンジョパンソ/軍事を扱う役所の長官)や吏曹判書(イジョパンソ/官吏を統括する役所の長官)を誰にまかせればいいかを知っているだろうか。余は若すぎる世孫にもそれらをわからせてあげたいのだ」

ここまで言ったあと、英祖はイ・サンに代理聴政(テリチョンジョン/摂政のこと)をさせたいという意向を示した。それに対して、強硬に反対したのが洪麟漢であった。

『赤い袖先』に登場するホン・ジョンヨは歴史的に洪麟漢のことだ(NBCユニバーサル・エンターテイメント/©2021MBC)

イ・サン反対派の総大将

朝鮮王朝の正史『朝鮮王朝実録』によると、洪麟漢は英祖の前で次のように断言している。

「東宮(トングン/王の後継者)は老論や少論のことを知る必要がありません。吏曹判書と兵曹判書についても知らなくていいし、さらには朝廷のことも知る必要がありません」

臣下でありながら、なんと強気な発言であろうか。

この言葉は歴史的にとても有名だ。臣下がイ・サンを公然と批判したのだから……。『赤い袖先』にも登場する言葉なので、ぜひ注目しておこう。いずれにしても、洪麟漢は完全にイ・サン反対派の総大将になったのである。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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