朝鮮王朝は歴代27人の国王が統治したが、彼らの平均寿命を調べてみると、「46.1歳」という結果になった。「人生50年」にも達していない。意外にも、国王は平均で短命になっていたのである。本来、栄養満点の食事をしていたはずなのに、なぜ平均寿命が短かったのだろうか。
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その理由は3つに分けられる。
まずは食べ過ぎだ。なにしろ、国王は1日に5回も食事を取っていた。しかも、食膳には庶民からは考えられないような料理が並ぶ。
それほど贅沢なものを食べていては、栄養過多になってしまうのも無理がないかもしれない。実際、歴代王の中には糖尿病や口内炎を患う人が多かったそうだ。4代王・世宗(セジョン)も30代から糖尿病に悩まされた。あれほどの名君も体調管理という面では失格だったようだ。
2つ目の理由はストレスである。
歴代王はとにかく朝から夕方まで激務が続いた。これでは気が休まるときがない。結果的にストレスで自分の寿命を縮めることになってしまった。
3つ目は運動不足だ。
国王は、威厳を保つためにいつもゆっくり動かなければならなかった。しかも、身の回りのことはすべて側近たちがやってくれる。これでは完全な運動不足になってしまう。こうしたことも健康を害する根拠になっていた。
こうして歴代王は自らの命を縮め、結果的に平均寿命が「46.1歳」になってしまった。
ちなみに、一番長生きしたのは21代王の英祖(ヨンジョ)だ。彼は82歳まで生きて、平均寿命を大いに上げた。
それでは、英祖の孫であったイ・サンの場合はどうであったのか。
彼は48歳で亡くなっている。国王の平均寿命とほぼ同じである。
このようにイ・サンは50歳まで生きられなかったが、食生活に問題が多かったようだ。なにしろ小食で好き嫌いもあったと伝えられている。これでは「健全な食生活」とはとうてい言えない。頭脳明晰で次々に善政を行なったイ・サンも健康管理には問題があった。それが長生きできなかった理由の1つになっていただろう。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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