朝鮮王朝を舞台にした韓国時代劇で絶対に欠かせないのが、陰謀をめぐらせて悪事ばかり働いている王妃だ。そんな王妃が露骨に政治に介入するとき、ドラマで様々な大事件が起こっていく。
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それはドラマの世界だけではなく、実際の歴史でもひんぱんに発生していた。その度に王朝は悲劇に見舞われるのだが、張本人となった悪徳王妃のワースト3を選んでみよう。
最初は文定(ムンジョン)王后だ。11代王・中宗(チュンジョン)の三番目の正室である。
自分が産んだ我が子を即位させるため、中宗の先妻が産んだ12代王・仁宗(インジョン)を1545年に毒殺してしまった。そうして息子が13代王・明宗(ミョンジョン)として即位すると、文定王后は代理で政治を仕切り、自分の一族で要職を独占して賄賂を横行させた。
当時は干ばつが多くて餓死者が続出したが、文定王后は救済策を行なわず庶民を見殺しにした。本当に悪魔のような王妃であった。
次に取り上げるのは貞純(チョンスン)王后だ。
21代王・英祖(ヨンジョ)の二番目の正室である。1762年、英祖の息子の思悼(サド)世子が米びつに閉じ込められて餓死する事件が起こったが、貞純王后は仲が悪かった思悼世子の失脚を狙って陰謀を働いていた。
また、思悼世子の息子だった正祖(チョンジョ)が王位に就いているときは目立った動きを見せず、正祖が亡くなって息子の純祖(スンジョ)が10歳で即位すると、後見人として政治に深く関与し、キリスト教徒の大虐殺事件を引き起こしている。本当に鬼よりも恐ろしい王妃であった。
以上の2人は、極ワルの王妃だった。
それに比べると、3人目の純元(スヌォン)王后は人を殺していない。しかし、23代王・純祖(スンジョ)の正室として気の弱い夫を見下し、実家の安東・金氏(アンドン・キムシ)の出身者を政権の中枢に入れて権力を独占した。それによって政治を腐敗させたのだ。
純元王后は純祖の死後も安東・金氏による一族政治を継続させて朝鮮王朝を堕落させた。その責任も重大であった。
以上の3人の王妃がいなかったら、朝鮮王朝はもっといい政治ができたはずなのだが……。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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