テレビ東京の韓流プレミアで5月3日から放送がスタートした『風と雲と雨』は、パク・シフが王朝最高の易術師チェ・チョンジュンを演じている。彼は次期国王の決定にも大きな影響力を持った「影のキングメーカー」になるのだが、ドラマを見る際に重要なのが描かれている時代設定だ。
なぜなら、『風と雲と雨』というドラマは舞台となる当時の世相がとても大事だからだ。そこで、時代設定について解説しよう。
『風と雲と雨』は朝鮮王朝25代王・哲宗(チョルチョン)の統治時代から始まっている。この王は1849年に即位したが、実権を持つことができなかった。なぜなら、当時は安東・金氏(アンドン・キムシ)の一族が最大の権力を握っていたからだ。それだけに、哲宗も安東・金氏の意向に逆らえば思うような政治ができなかった。
ちなみに、『風と雲と雨』では安東・金氏が壮洞・金氏(チャンドン・キムシ)の一族に置き変わっている。壮洞・金氏のキム・ビョンウン(キム・スンス)が一族の実力者として権力を持ち、パク・シフが演じるチョンジュンと強烈な主導権争いを演じていく。
そして、哲宗には後継ぎとなる男子がすべて亡くなって生存していなかったので、彼の後継者争いが激化する。
そこに名乗りをあげたのが、チョン・グァンリョルが扮した興宣君(フンソングン)であった。彼は冴えない王族であったが、息子を時期国王にするために様々な策略をめぐらせていく。その中でチョンジュンは自らの才覚を発揮して興宣君に協力する。それが成功して誕生したのが26代王の高宗(コジョン)だった。彼の即位は1863年だ。
しかし、11歳の高宗の後見人となった興宣君は極端な攘夷政策を実行して、国内を混乱させた。その激動期に奮闘したのがチョンジュンであり、彼は自分の理想とする社会を築くために興宣君と対立していくのである。
こうした歴史をダイナミックに描いている『風と雲と雨』は、朝鮮王朝末期の壮大な政治史を巧みに展開しており、とても見応えのある歴史巨編になっている。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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