朝鮮王朝を舞台にした時代劇において、国王の息子が生まれる場面が登場したりするが、実際の歴史では王子が様々なしきたりの中で大切に育てられていった。
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まずは、最初が肝心である。王家ではことさら胎教を重んじていた。
妊娠した王妃が特に心掛けたことは、からだを清潔に保ち、美しいものを見ることだった。身も心も清らかにしてこそ立派な王子が生まれる、と王家では強く信じられていたのだ。
そして、食事においては栄養が豊富な旬の食材だけが使用されたが、さらに食べ合わせを重視した。その中でも、「牛肉と米飯」「豚肉と稗(ひえ)飯」がバランスのいい食べ合わせだと見なされた。それゆえ、王妃の食膳にはそういうメニューがひんぱんに並んだ。
いよいよ王妃の出産が間近になってくると、臨時の産室庁が作られ、準備を万端に整えていった。
こうして王子が生まれると、まずは産湯でからだを洗うが、吉兆を表わすものとして、梅、桃、スモモの木の根、クルミなどが湯の中に入れられた。
そして、生まれたばかりの赤ん坊に産着を着せることになるが、その産着には信じられないような特徴があった。
それは果たして何なのか。
実は産着は官僚が着ていた服から作られたのだ。なぜ、そんな必要があったのか。
無病で元気に長生きをしている人をあえて選んで、その人が着ている服で産着を作ったのである。それは、長寿の人が持っている「気」を受け継ぐためであった。
それゆえ、子供が生まれる前には長寿の人は事前に選んでいた。
とはいえ、その「気」がどれくらいの効果があったのだろうか。
幼くして亡くなった王子が多かったことを見ても、長寿の人の「気」はあまり効果がなかったかもしれない。しかし、そんな「おまじない」がずっと儀式になっていたのも、王子が無病息災でスクスクと育ってくれることを国王や王妃が心から願ったからであった。
そして、王子が生まれた後、健やかな成長を祈願する祈祷が全国各地で行なわれて、すべての人々が国王の息子の誕生を心から祝ったのである。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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