朝鮮王朝の三大悪女といえば、張緑水(チャン・ノクス)と鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)と張禧嬪(チャン・ヒビン)のことだ。
張緑水は、暴君だった燕山君(ヨンサングン)の側室として王朝の金庫を空にするほど浪費しまくった女性であり、鄭蘭貞は中宗(チュンジョン)の三番目の正室であった文定(ムンジョン)王后の手先として悪事を働いた女性だ。
そして張禧嬪は、時代劇が好きなら誰でも知るように、粛宗の側室から王妃にのぼり詰めてその後に側室に降格した女性だった。
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こうした三大悪女の話はよく話題になるが、その哀れな死に方については三者三様だった。その中で一番悲惨な死に方だったのは?
最初に説明すると、3人の中で一番高貴な死に方だったのは張禧嬪だ。彼女は仁顕(イニョン)王后を呪い殺そうとした罪によって死罪になった。
この場合の死罪は毒薬を飲むことだが、国王から与えられた毒薬を飲んで死ぬというのは、朝鮮王朝では最も名誉ある死罪だったと言われている。そういう意味では張禧嬪は、死に方そのものは悲惨ではなかった。
鄭蘭貞の場合は自殺である。後ろ盾となっていた文定王后が亡くなると、それまでさんざん恨みを買っていた鄭蘭貞は逃亡し、最後は逃げきれないと覚悟して自ら命を絶った。
彼女の場合は、自分から死を選んだという意味で致し方ないところだろう。殺害されたわけではないのがせめてもの救いだ。
一方、徹底的に悲惨な死に方だったのが張緑水だ。暴君だった燕山君が王宮を追われて廃位になった後、張緑水は引っ張り出されてきて首をはねられてしまった。
この斬首というのは、朝鮮王朝の死刑制度では一番多い処刑方法だった。
張緑水の場合は市中で斬首された後、彼女の遺体に向かって多くの人が石を投げた。その石が積もって石塚ができたというから、張緑水は徹底的に憎まれていたに違いない。
朝鮮王朝三大悪女の中で、張緑水は最後の最後まで最悪の終わり方だった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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