テレビ東京の韓流プレミアで放送されている『王になった男』では、国王を中心にした公式会議の場面がひんぱんに出てくる。よく見ていると、国王から見て向かって右側と左側の二列になって高官たちが並んでいる。これが通常の公式会議の形式である。
実際、朝鮮王朝では1575年から1800年頃まで高官同士による派閥闘争がとても激しく、常に二つの有力派閥が競い合っていた。それによって、公式会議でもそれぞれ二列に分裂して並んでいたのだ。
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『王になった男』では、国王から見て右側の高官たちが反対意見ばかり言っており、左側の高官たちは国王に対して賛成を表明していた。史実では、ヨ・ジングが演じたイ・ホンのモデルとなった光海君(クァンヘグン)の場合、支持勢力は大北派(テブクパ)、反対勢力は小北派(ソブクパ)と呼ばれていた。
大北派の高官たちは、自分たちの保身のために、光海君の異母弟であった永昌大君(ヨンチャンデグン)を流罪にしたうえで殺してしまった。この永昌大君の実母が仁穆王后(インモクワンフ)であり、彼女は息子だけでなく、実父も大北派によって死罪となり、実母は奴婢(ぬひ)にされてしまった。これほど身内が悲劇に見舞われた王族の女性も他にいなかったほどだ。
この仁穆王后のモデルとして、『王になった男』でも大妃(テビ/王の母)が登場する。
この大妃は自分が産んだ息子を国王によって殺されているので、当然ながら国王に対しては強い恨みを持ち、復讐しようと機会をうかがっていた。この大妃を支持する高官たちが、『王になった男』では国王から見て右側の列に並んでいたのである。
そして、高官たちが着ている韓服の色を見ていると、その役職の地位がおよそわかってくる。
赤色の韓服を着ている高官たちが一番地位が高く、次が青色の韓服を着ている高官たちだった。さらに、緑色の韓服を着ている高官が役職としては三番目だった。つまり、青色を着た高官より赤色を着た高官のほうが地位が上、と覚えておくと、時代劇を見るうえでも便利になるだろう。
なお、『王になった男』を見ていると赤色の韓服がエンジの色に映っている。これは、テレビ的な演出であろう。本来は赤色の韓服を着ているはずである。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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