トンイと張禧嬪は実は最初は仲が良かったのか?(前編)

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7月17日から韓流プレミアで放送されている時代劇『トンイ』の中では張禧嬪〔チャン・ヒビン〕(この時点での役名は「チャン尚宮」)とトンイ(淑嬪・崔氏〔スクピン・チェシ〕)が王宮内で初めて話を交わす場面(第7話と第8話)が重要なので、それを2回に分けて振り返ってみよう。

張禧嬪はトンイの働きによって窮地を脱し、そのお礼に彼女を自室に招き入れた。その席で、張禧嬪はトンイを頼もしく見つめていた。しかし、トンイは粛宗の寵愛を受ける張禧嬪があまりにまぶしく見え、その前で妙にオドオドしていた。

張禧嬪が口を開いた。

「澄んでいる。瞳の輝きがいい」

「エッ?」

「奴婢〔ぬ〕〔ひ〕とは思えないような才気と気品がある」

「めっそうもないことです。なぜ私のような者にそういうお言葉をくださるのですか」

トンイは相変わらず恐縮したままだ。ここで張禧嬪が有名な詩の一節を暗唱し、「続きの詩を詠んでみよ」とトンイに呼びかける。謙遜しながらトンイがその続きを詠むと、張禧嬪はにっこり笑って言った。

「やっぱり私の目は正しかった。文字が読めると思っていた」

そう言われてトンイはかしこまってしまったが、張禧嬪は自分の苦境を救ってくれたことを素直に感謝する。そして、「そなたに褒美をあげたいのだが、どんなものがほしいのか」と言った。

トンイがためらっていると、さらに張禧嬪が言った。

「どんなものでも構わない。ほしいものがあれば何でも言ってみよ」

「褒美をくださるとはおそれ多くて……。願うものは特にありません」

トンイが張禧嬪に頼んだこととは?

トンイがそう言うと、張禧嬪はけげんな表情で「褒美がほしくないとは、本当なのか?」と問い詰めた。トンイがうなずくと、張禧嬪の顔が明らかに曇った。

「失望した。欲がないとは良くないことなのに……。なぜ? 自分が奴婢だから? 褒美などは自分にふさわしくないと?」

張禧嬪は苛立っていた。トンイはひたすら恐縮するだけだったのだが、その卑屈さも張禧嬪の気にさわった。

「惜しいことだ。望むものを素直に望んだら、もっとそなたを気に入ったのに」

張禧嬪は気落ちした表情でお付きの女官にトンイを見送るように言った。すると、そのときになって突然トンイは頭を下げて懇願し始めた。

『トンイ』制作会見時のハン・ヒョジュとイ・ソヨン

「実はお願いしたいことがあります。お持ちになっている“鍵に付ける飾り”を見せてくださいますか。それを持っている人は私がずっと探している人なのです」

張禧嬪が驚いていると、トンイはさらに続けた。

「とても小さい頃の記憶ですので曖昧なところがありますが、お持ちになっている飾りを見れば確かめられると思いまして……」

トンイがそこまで“鍵に付ける飾り”にこだわるのは、それを持った女性に幼い頃助けられたことがあったからだ。いわば“命の恩人”であり、大人になったあともその人をずっと探していたのだ。

前編はここまでにしておこう。張禧嬪に鍵に付ける飾りを見せてほしいと頼んだトンイ。この先はどのような展開になるのだろうか。

構成=大地 康

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