『不滅の恋人』は、1450年代の史実が元になっている。
ドラマでチュ・サンウクが演じていたイ・ガンは、史実では王子の首陽大君(スヤンデグン)のことだ。そして、ユン・シユンが演じたイ・フィは安平大君(アンピョンデグン)のことで、権力を握った首陽大君によって死罪にされてしまった。このあたりは、ドラマと違って残念なことなのだが‥‥。
首陽大君は未成年だった6代王・端宗(タンジョン)を脅し、1455年に7代王・世祖(セジョ)として即位した。そんな強引なやり方に対して、反抗の意を示した高官は多かった。
その中心人物となったのが成三問(ソン・サムムン)だ。
彼は同志を募った。そして、朴彭年(パク・ペンニョン)、河緯地(ハ・ウィジ)、李塏(イ・ゲ)、兪応孚(ユ・ウンブ)、柳誠源(ユ・ソンウォン)の5人が加わった。
この6人は、端宗を王に復位させるためのクーデターを計画した。決行する日は、中国の明の使節の歓迎行事が行なわれるときだ。
本来なら、その行事のときに世祖を殺害する予定だった。しかし、計画が世祖にばれてしまい、失敗に終わってしまう。
成三問たちを捕えた世祖は、彼らに対してこういった。
「お前たちのような有能な人材を失うわけにはいかない。助けてほしければ余を王と認めるのだ」
しかし、端宗に忠誠を誓っていた成三問たちは決して世祖を王と認めず、激しく罵った。
それによって彼らは、激怒した世祖に処刑された。成三問たちの遺体は見せしめのために、刑場に放置されたままにされた。
端宗への忠誠心を貫き通した6人は、「死六臣」と呼ばれるようになり、その後に称賛されている。
現在、ソウル市の鷺梁津(ノリャンジン)洞には、「死六臣廟(サユクシンミョ)」がある。
1955年に六角の死六臣碑が建設され、1978年には墓域を拡大するなど、彼らの忠考(チュン ヒョ)思想の原点ともされている。
また、彼らの忠誠心と正義を称えるために、毎年、10月9日には死六臣の死を偲んで追悼祭祀が行われる。
歴史に興味がある方は一度足を運んでみる価値もあるだろう。
いずれにしても『不滅の恋人』のストーリーは、「死六臣」の史実も大いに参考にされている。
文=康 熙奉
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