『不滅の恋人』では、『オクニョ 運命の女(ひと)』で「時代劇のヒロイン」として人気を集めたチン・セヨンが主役を演じ、ユン・シユンやチュ・サンウクが共演している。
ドラマは、ユン・シユンが演じるイ・フィとチュ・サンウクが扮するイ・ガンという2人の王子が激しく対立し、チン・セヨンが演じるジャヒョンがイ・フィとの究極の愛に運命を捧げていく。
そんなストーリーなのだが、ジャヒョンの場合、高官の娘という設定なので貴族階級に属している。まさに、典型的な良家の娘なのだ。
こういう立場であれば、朝鮮王朝時代にはどんな結婚を迎えていたのだろうか。
まず、結婚相手はかならず貴族階級の両班(ヤンバン)の出身者にかぎられる。当時は厳しい身分制度があり、自分たちより身分が低い人との婚姻は考えられなかった。
通常、両班の娘であれば、15歳か16歳くらいで両班の息子と結婚するのが決まりだ。しかも、家同士で婚姻を決めてしまうので、本人の意思を通すことはできなかった。自由恋愛が考えられない時代なのだ。
なおかつ、ジャヒョンの家柄は相当にいいので、王族と結婚することも可能だった。特に、世子の嫁候補になれば「揀択(カンテク)」の対象にもなった。
この揀択とは、朝鮮王朝時代に王妃や世子嬪(世子の妻)を選ぶ行事のことだ。
特に、世子が結婚する時期を迎えたら、王家に嫁を出せる身分の家に対して“禁婚令”が出され、適齢期の娘の結婚が禁じられた。それは、王家が最高の条件をもった娘を全国から選ぶためだった。
このように禁婚令を出したうえで、両班の家に対しては結婚適齢期を迎えている娘の有無を自己申告させた。そして、数度にわたる審査を経て、世子の嫁が選ばれたのだ。
ジャヒョンの場合も、世子の嫁になれる資質を備えていた。イ・フィやイ・ガンという王子がジャヒョンをめぐって争ったのも必然だったかもしれない。
(文=康 熙奉/カン・ヒボン)
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