【『哲仁王后』の真実】ホントウの王妃はどんな女性だったのか

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テレビ東京で放送されている『哲仁王后~俺がクイーン!?~』は、韓国大統領官邸のシェフの魂が朝鮮王朝時代の哲仁(チョリン)王后の心に入り込んでしまうという話だ。

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ドラマの序盤では、王妃がまるで男性のようにふるまうので、そばに付いている女官たちがてんてこまいになってしまう。そんな騒動が大いに笑いを誘うのだが、そもそも、心の中に男が入り込んでしまった王妃とは、本来どんな女性なのだろうか。そのことがとても気になるので、史実をひもといて哲仁王后の人物像を明らかにしてみよう。

『哲仁王后~俺がクイーン!?~』では第3話で王妃に仕えている侍女のホンヨン(チェ・ソウンが演じている)が「王妃がどんな方なのか」を語っている場面があった。

それによると、王妃はとても気難しい性格で、周囲が少しでも騒いでいるとあからさまに激怒するタイプだった。それは、史実でも同じだったのだろうか。

キム・ソヨンという名前だった哲仁王后は、1837年に生まれている。父親はキム・ムングンでドラマではチョン・ベスが演じている。

キム・ソヨンは当時の朝鮮王朝で絶対的な権力を握っていた安東(アンドン)・金(キム)氏の一族の出身であり、1851年に王妃に選ばれて王宮に入ってきた。当時、14歳であった。

ドラマではシン・ヘソンが哲仁王后を演じた(写真=© STUDIO DRAGON CORPORATION)

地味だった哲仁王后

そして、キム・ソヨンは無事に哲宗と結婚し、王妃に冊封された。

肝心の性格は、口数が少なくて、感情がおだやかだったと言われている。そういう意味では、徳があって、女官たちを困らせることもなかった。

つまり、『哲仁王后~俺がクイーン!?~』の中でホンヨンが語った王妃の性格は、実際とはかなり違っていたのである。

しかし、父親のキム・ムングンは娘が王妃になったことで図に乗り、横暴な態度で悪評が多かった。そういう事情もあって、王妃はなおさら控えめにふるまって評判が悪くならないようにふるまった。

そんな王妃は哲宗との間に息子を出産していたが、残念ながら王子は夭逝してしまった。

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© STUDIO DRAGON CORPORATION

また、哲宗は側室だけでなく宮女にも手を出すことが多く、女性問題でトラブルをたくさん起こしているので、哲仁王后も内心ではかなり戸惑いがあったものと思われる。

結局、哲宗は酒と女に溺れて早死にしてしまった。それは1863年のことだった。

以後、哲仁王后は大妃として表に出ずに質素に暮らし、1878年に41歳で亡くなっている。

数多い王妃の中でも本当に地味だった哲仁王后。その150年後に大人気の時代劇で喝采を浴びるヒロインになるとは夢にも思わなかったことだろう。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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