朝鮮王朝11代王・中宗(チュンジョン)の時代に、“朝鮮最高の妓生(キーセン)”と呼ばれた黄真伊(ファン・ジニ)。『満月台懐古詩』をはじめ数々の作品を残した詩人としても知られている。
そんな彼女の生涯を描いたドラマが『ファン・ジニ』だ。美しい伝統音楽や民族舞踊、華やかな衣装も話題となり、日本でも大ヒットした。
主演は人気女優ハ・ジウォン。韓国放送当時、ハ・ジウォンは語っている。
「彼女は韓国人なら誰もが知っている人物ですし、過去にも映画やドラマなどで何度も映像化されてきましたが、彼女のイメージは、芸に秀でて美しい美貌を誇り、数々の男性たちと浮名を流したということに終始しています。
ただ、それも仕方がありません。厳しい身分制度が敷かれていた時代に妓生として生きた彼女に関する記録が、ほとんど残っていないため、いくつかの逸話が伝えられ、それが今日の彼女のイメージに関係していると思うんです。
そんな彼女のイメージを変えたかったという気持ちはありました」
実際、ハ・ジウォンが演じた『ファン・ジニ』は違った。
歴史資料の中のファン・ジニは「恋多き女」と言い伝えられ、それゆえに「魔性の女」として描かれることが多かったが、ハ・ジウォンが演じた『ファン・ジニ』は、芸の道を極めようと、けなげで必死だった。
しかも、恋愛や愛に対して、情熱的でまっすぐだった。
男尊女卑がきびしかった時代でありながらも、自分の信念を曲げずに激しく恋をして、自由に生きるその姿は、しなやかで美しく、力強かった。
「詩や歌、楽器、舞踊などの芸の道に生きる姿をしっかりと描きたかったのです。
また、自由人として堂々と生きる姿もお見せしたかった。
おそらく実際のファン・ジニもそんな女性だったと思うんです。その情熱的な生き方には、私自身も演じていて嫉妬を感じるほどでした」
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誰かに依存したり、誰かのせいにするのではなく、自らの人生を行き、時代の価値観にも挑んだファン・ジニ。ハ・ジウォンの演技によって描かれたファン・ジニの情熱的な生き方は、現代を生きる女性たちにも、勇気を与えたに違いない。
構成=韓ドラ時代劇.com編集部
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