朝鮮時代に存在した2人の天才画家、キム・ホンドとシン・ユンボク。キム・ホンドは『シルム(相撲)』や『書堂』などの名画をたくさん残し、一方のシン・ユンボクは『美人図』や『端午風情』など風俗画を得意とした人物。
もちろん2人とも男性だが、ドラマ『風の絵師』で、ユンボクが本当は女性だったという設定で描かれている。実際に史料が少なく、謎の多いシン・ユンボクの生い立ちの秘密や宮中の陰謀などを加えることで、推理的な雰囲気が漂うのも、このドラマのおもしろさと言える。
そんな創造性豊かな設定も魅力だが、出演者たちにも注目してもらいたい。男装姿がキュートなムン・グニョンの演技からは、同作品に賭ける意気込みが伝わってくる一方、男っぽさを出すために細部にまで気を配った演技力には脱帽させられる。
また、弟子に愛を注ぐキム・ホンド役をパク・シニャンが好演。やがてユンボクが女性だと気付いたときの複雑な気持ちの揺れを見事に演じきっている。そんな出演者の演技と同時に、朝鮮の歴史に名を残す実在の名画を甦らせた映像美にも注目だ。
1776年の朝鮮王朝。謎の死を遂げた天才絵師ソ・ジン(ハン・ジョンス)の娘であるシン・ユンボク(ムン・グニョン)は、養父となったシン・ハンビョン(アン・ソクファン)によって息子として育てられた。
絵の才能を伸ばすため、王宮の図画署に入門したユンボク。ある日、お忍びで外出していた貞純王后(イム・ジウン)の姿が描かれたことが本人の耳に入り、絵を描いた者を探し出して処刑するように命じる。
貞純王后はその捜査を絵師のキム・ホンド(パク・シニャン)に任せるが、ユンボクの優れた才能を失うことを惜しんで処刑の身から救う。やがて2人は師弟関係となる。
そんなある日、正祖王(ペ・スビン)は2人に10年前に密命で描かれた思悼世子の肖像画を探すように命じる。その肖像画を描いた元老画員の謎の死を追う者が次々と殺人事件に巻き込まれていた。そして、やがて2人はユンボクの父であるソ・ジンの死の謎などに関わっていくのだが…。
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