高句麗(コグリョ)の流れを受け継ぎ、渤海(パレ)を建国した大祚榮(テ・ジョヨン)の一代記を描いた歴史超大作。全134話と長丁場のストーリーにも関わらず、韓国では常に高視聴率をキープしたドラマで、最高視聴率は36.8%を叩き出した。
ドラマ人気をけん引した人物は韓国時代劇の顔と呼ばれるチェ・スジョンだ。彼がそれまで出演しきた『太祖王健』『太陽人イ・ジェマ』『海神』などの時代劇はどれも人気が高く、『大祚榮』でも迫真の演技は健在だ。
また、3Dデジタルを駆使した戦闘シーンなどの映像美も圧巻で、衣装やセットの鮮やかさも『大祚榮』を楽しむ要素の一つだろう。
さらにストーリーが独創的な部分もみどころ。
渤海は朝鮮半島の歴史上、広い領土を保持していたが、資料が少ないため、ドラマや映画などの映像化が難しく、なかなかアプローチできない部分が多かった。それでも、渤海を建国したテジョヨンの人生がどのようなものだったのかを、創造性豊かにドラマの中で蘇らせている。
実在したイ・ヘゴという人物をライバルに仕立て、恋においても契丹族部族長の娘チョリンをめぐって恋敵になることで、2人の運命をドラマ終盤まで引っ張っていくという設定もおもしろい。
また、テジョヨンと生涯を共にするコルサビウとフク・スドルが、どのような形で渤海建国に携わっていくのか、史料にはない部分を映像でじっくり味わってほしい作品だ。
三国時代末期の645年、唐が高句麗を侵略しようとしていたころ、高句麗内部では淵蓋蘇文を筆頭に唐に対抗する派閥と、唐と和平の道に進もうとする派閥が対立を深めていた。
そのころ高句麗の将軍テジュンサン(イム・ヒョク)に息子テジョヨン(チェ・スジョン)が誕生する。
高句麗には「流星が落ちた時に生まれた子は将来、王になる」という言い伝えがあり、そんな日に生まれたのがテジョヨンだった。王の血統を継がない者が国の長になることを恐れた淵蓋蘇文の参謀たちは、幼いテジョヨンを殺そうとする。
だが、淵蓋蘇文はテジョヨンを殺さずに名前をケトンに変えて生きることを命じた。660年に百済が滅亡したころ、自分の出生を知らずに奴婢として育ったテジョヨンだったが、武術に長けた青年へと成長していた。
やがて高句麗は内乱に陥り、淵蓋蘇文の死により、分裂の危機に直面する。このような混沌状態の中、唐と新羅の連合軍の全面攻撃によって高句麗は千年の歴史に幕を下ろす。
その後、高句麗征伐の過程で急浮上した唐の将軍ソル・イングィ(イ・ドクファ)と高句麗復興運動の中心人物へと成長したテジョヨンが対立を深めていく。
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