時代劇『トンイ』で後半に入って新たに登場したチャン・ムヨルは恐ろしい男だ。張禧嬪(チャン・ヒビン/演者イ・ソヨン)と手を組んで、王宮の中で最強レベルの陰謀を連発している。
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それゆえ、トンイ(演者ハン・ヒョジュ)のおぞましいカタキ役になってしまった。確かに、最初は粛宗(スクチョン/演者チ・ジニ)から信頼を得た人物だったのだが、その裏では策略をめぐらせて暗躍していた。
そんなムヨルは、父が南人派の陰謀によって殺害されていたが、その事実を巧みに利用して逆にトンイを追い詰めていく。それもすべて、野心家の彼が欲望を満たすためだ。出世のためなら手段を択ばないムヨルを憎たらしく演じたのがチェ・ジョンファンだった。
彼は『女人天下』(2001~2002年)で11代王・中宗(チュンジョン)の役を演じて好評を博した。それ以来、国王を演じることが多かったのだが、『トンイ』では初めて悪役にチャレンジして、狡猾な官僚に成りきっていた。
『トンイ』以後も数々のドラマで名演技を繰り広げている。『ホジュン~伝説の心医~』(2013年)では、内医院のトップであるヤン・イェスに扮して、王族の診察を指揮する苦悩を表現していた。
『華政〔ファジョン〕』(2015年)で演じたのは光海君(クァンヘグン)の異母兄である臨海君(イメグン)。いかにも裏のある人物のように見せていた。
イ・ヨンエが主演した『師任堂(サイムダン)、色の日記』(2017年)では、中宗と大学教授の二役を演じたが、どちらも癖の強い役で不気味な雰囲気を出していた。
さらに、『太宗 イ・バンウォン~龍の国~』(2021~2002年)では高麗王朝の文臣チョン・モンジュに扮していた。この人物は強い信念を持った公正なタイプなのだが、それをチェ・ジョンファンは重厚に演じ切っていた。
彼はどんな役を演じても、心の内面に複雑さを抱えている感じをよく出している。それだけに、インパクトに残る演技ができる名優だと言える。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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