Netflixで配信中のドラマ『ウンジュンとサンヨン』は、まばゆい光と深い影を同時に抱えた人間模様を鮮烈に描き出すヒューマンドラマである。
幼少期から40代に至るまで、互いに支え合い、時に激しく衝突しながら歩んできた2人の女性の軌跡が、叙情的で胸を打つ映像美とともに紡がれていく。
主人公は、感性豊かなドラマ作家リュ・ウンジュン(演者キム・ゴウン)と、華麗なキャリアを誇る映画製作者チョン・サンヨン(演者パク・ジヒョン)である。
小学校で運命的に出会った2人は、友情と競争心のあわいで心を揺らしながら成長し、それぞれの舞台で輝きを放ってきた。
物語の核心にあるのは、歳月を超えて結ばれてきた“かけがえのない絆”である。10代の未熟な憧憬、20代の情熱的な衝突、30代の葛藤と孤独、幾度となく別れと再会を繰り返した2人は、42歳の現在、再び運命に導かれるように邂逅する。
サンヨンは末期がんを患い、自ら尊厳死を選ぶ決断を下す。その切実な願いを胸に、彼女は「最後の時間を共にしてほしい」とウンジュンを訪ねる。静謐な余韻を漂わせながら始まる物語は、観る者に人生の尊さを問いかける。
素朴で人間味にあふれたウンジュンと、成功の裏で孤独を抱えたサンヨン。対照的な2人が再び交わることで、それぞれが見失っていた“本当の自分”や“守るべきもの”に向き合っていく。友情と愛情、嫉妬と羨望が複雑に絡み合うなかで、視聴者は時に温かい涙を、時に苦い感情を共有することになる。
本作の大きな魅力は、キム・ゴウンとパク・ジヒョンの再共演にある。『ユミの細胞たち』でライバルとして火花を散らした2人が、今作では“親友であり宿命の相手”として新たな化学反応を生み出す。張り詰めた感情を繊細に表現する演技は、観る者の心を揺さぶり、深い余韻を残すに違いない。
『ウンジュンとサンヨン』は単なる友情の物語ではなく、時を重ねる中で言葉にできなかった想い、そして“終わり”を前にした人間の真実を映し出す作品である。
観終えた後には、誰もが「大切な人と残された時間をどう過ごすか」という普遍的な問いを胸に抱くことになるであろう。
◆『ウンジュンとサンヨン』概要
放送年:2025年
出演者(役名):キム・ゴウン(リュ・ウンジュン)、パク・ジヒョン(チョン・サンヨン)、キム・ゴヌ(キム・サンハク)、チョン・ヘジン(チャン・スニョン)、ソ・ジョンヨン(ユン・ヒョンスク)
監督:チョ·ヨンミン(『愛と、利と』『ブラームスは好きですか?』)
脚本:ソン·ヘジン(『空から降る一億の星』など)
配信情報:Netflixで配信中
文=大地 康
■【写真】『破墓』で新境地のキム・ゴウン、映画撮影中にカラオケに行ったエピソード
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