今年の前半も、多様なジャンルにおいて質の高い韓国ドラマが多かった。その中から3本だけを選ぶというのは、本当に迷ってしまうが、最後は決断して究極の「ベスト3」をピックアップした。さて、どんなドラマが並ぶだろうか。
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●『おつかれさま』(Netflixで配信)
ヒロインのオ・エスンの波乱万丈な人生がメインで描かれた。若いときはIUが演じ、中年以降はムン・ソリが引き継いだ。そして、IUは後半になってエスンの娘のクムミョンに扮したので、全編を通して彼女の出番がずっと続いた。また、夫のヤン・グァンシクは、若いときはパク・ボゴムが扮し、中年以降はパク・ヘジュンが演じた。
物語の序盤で、子供のグァンシクは「絶対にエスンと結婚する」と心に決めていた。高校生のときはエスンの家出に付き合って、釜山(プサン)まで逃避行をした。最後は済州島に連れ戻されたが、彼は諦めず、ついにエスンと結婚した。
以後もグァンシクは海で必死に働き、一途にエスンを愛して子供たちを真摯に育てた。いつも困難な現実に苦しめられたが、朴訥の彼は妻と子供を優先する生き方を貫いた。そんな夫に支えられて、エスンは思い通りの人生を歩んだ。
こうした夫婦の生涯を描いた『おつかれさま』。まさに、済州島(チェジュド)で生きる家族の壮大な叙事詩だった。
●『トラウマコード』(Netflixで配信)
チュ・ジフンが演じるペク・ガンヒョクは、天才的な外科医で大学病院の重症外傷チームのリーダーだ。しかし、院長は患者の命を救うことより、赤字を出さない病院経営ばかり考えている。反発したガンヒョクは、どんな経費でも惜しまず使ってしまう。
ガンヒョクは院長の陰謀によって追放されそうになるが、患者のために獅子奮迅の医療活動をやり抜いていく。弟子が若手医師のヤン・ジェウォン(演者チュ・ヨンウ)だ。
彼は小心者でガンヒョクに徹底的にこき使われていくのだが、飛躍的に外科医としての腕を上げていく。こうして『トラウマコード』は、ガンヒョクとジェウォンの師弟コンビを中心に物語が進んでいく。最後までガンヒョクの型破りな言動が病院経営の算術ぶりを暴き出していて痛快だ。
●『オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-』(U-NEXTで配信)
主演のイム・ジヨンが演じるのが奴婢のクドクだ。冷酷な両班(ヤンバン)に虐待されて、屈辱にまみれた日々を送っていた。やがて彼女は逃亡した先で奇跡的な出会いを果たし、以後は名門の令嬢オク・テヨンとして生きていく。
そして、外知部(ウェジブ/法律の弁護人)として活動していく。そんなオク・テヨンの人生に深く関わってくるのが、芸人のチョン・スンフィ(演者チュ・ヨンウ)である。彼はかつてクドクを守りたいと願った男だ。
しかし、オク・テヨンが結婚したのはチョン・スンフィと瓜二つのソン・ユンギョムだった。身分を隠すための結婚でもあったが、逆賊の汚名を着せられた彼は行方不明になってしまう。その末に、チョン・スンフィがソン・ユンギョムに成り代わるという劇的なストーリーになっていく。
そのソン・ユンギョムの実弟が優秀なソン・ドギョム(演者キム・ジェウォン)。彼は首席で科挙に合格し、姉のオン・テヨンを支える。こうしてドラマは珠玉の物語を紡いでいくが、クライマックスまで完成度がとても高かった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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