Disney+で独占配信中の韓国ドラマ『ナインパズル』にて、女優キム・ダミが主演を務めている。本作は、10年前の未解決事件を軸に、複雑に絡み合う人間の心理と記憶を描くサスペンス作品であり、キム・ダミはその核心人物である犯罪プロファイラー、ユン・イナを演じている。
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ユン・イナは、同じ事件の唯一の目撃者でありながら、現在では捜査の一線で活躍するプロファイラー。しかし、過去と現在が交差する中で、彼女は自身の記憶と向き合いながら、ある疑念の目を向けられる。
彼女を容疑者として疑うのは、エリート刑事キム・ハンセム（演者ソン・ソック）。異色のコンビによる共同捜査が進む中、少しずつ明らかになる事件の真相と、それぞれの心の闇が視聴者を深く引き込んでいく。
キム・ダミといえば、社会現象を巻き起こした『梨泰院クラス』でのチョ・イソを演じた女優だ。
IQ162の天才にしてソシオパス的な一面を持つそのキャラクターを、強烈かつ繊細に演じ切ったことで、多くの視聴者を魅了した。今回のユン・イナは、そのチョ・イソとは一線を画す存在であり、彼女の女優としての新境地を示している。
ユン・イナは冷静沈着でありながら、心の奥に深いトラウマを抱えた人物だ。秘密を隠しながら平然と振る舞うユン・イナの眼差しに、キム・ダミならではの複雑な感情表現が込められている。その目の奥に浮かぶ焦燥、諦念、そして静かな決意は、セリフ以上の雄弁さで観る者に語りかける。
さらに本作では、ソン・ソック演じるキム・ハンセムとのやり取りを通して、ユン・イナの内面に潜む人間らしさが少しずつ露わになっていく過程が見どころである。
抑制された感情の中に芽生える信頼と葛藤、それらを繊細に表現するキム・ダミの演技が、作品に深い奥行きを与えている。
『梨泰院クラス』『その年、私たちは』など、型破りで芯のある女性像を演じてきたキム・ダミ。『ナインパズル』のユン・イナもまた、既存の枠にとらわれない彼女の俳優像を色濃く反映している。
派手な演出に頼らず、登場人物の内面をじっくりと描く本作において、彼女の存在は作品の柱であり、物語を人間ドラマへと昇華させている。
今すぐDisney+で視聴可能な『ナインパズル』。キム・ダミが演じるユン・イナの物語は、2025年の韓国ドラマシーンにおいて、確実に語り継がれるべき1本である。観る者の心に深く刺さるその一編を、ぜひ体験してほしい。
文＝大地 康
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