Netflixで配信されている『恋するムービー』は、まるで1本の美しい映画のように、繊細なロマンスを紡ぎ出す青春群像劇である。
胸が締めつけられるような感情の波が押し寄せる物語の中で、チェ・ウシクとパク・ボヨンが鮮烈な主人公カップルを演じている。特にチェ・ウシクの存在感は際立っており、彼の演技は見る人の心に深く刻まれている。
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そんなチェ・ウシクの印象的な出演作といえば、『その年、私たちは』(2021~2022年)が強く思い起こされる。
彼が演じたのは、才能に溢れる人気イラストレーターのチェ・ウンだ。共演のキム・ダミは、広報のスペシャリストであるヨンスを演じた。
このドラマの設定が極めて興味深い。
高校時代、学年トップのヨンス(演者キム・ダミ)と最下位だったチェ・ウン(演者チェ・ウシク)という対照的な2人が、ドキュメンタリー番組の主役として取り上げられたことをきっかけに、恋人関係へと発展していく。しかし、突如としてヨンスの一方的な別れの言葉が2人の関係を引き裂いた。
10年後、再び2人の「その後」を追う続編の制作が決定する。そこでは「ヨンスとチェ・ウンの10年間に何があったのか」という問いがゆっくりと解き明かされていく。過去と現在が交錯しながら、2人の関係の軌跡が丁寧に描かれていくのだ。
特筆すべきは、高校時代の映像が頻繁に登場し、ノスタルジックな雰囲気を醸し出している点である。
チェ・ウシクが高校生役を演じているのだが、1990年生まれでありながら、その役柄に違和感がなかった。彼の若々しい姿と自然な演技が、高校時代の甘酸っぱい空気を完璧に再現していたのだ。
『その年、私たちは』は、高校時代の輝きと、大人になった後の心の揺らぎを繊細に描き出した作品である。
過去と現在が絡み合いながら進むストーリーは、懐かしさと切なさが入り混じっていて、主人公2人の愛の行方をじっくりと味わうことができた。それほど見応えのある作品になっていた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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