優秀な脚本家がそろっている韓国ドラマ界は、「サスペンス」のジャンルでも次々に面白い作品を送り出している。特に、人間の深層に迫る展開のドラマが多いので、見ているとドキドキ感が止まらない。さらには、復讐という題材がからんでくると、いっそう緊迫感が押し寄せてくる。そこで、長い休みにじっくり見られる5つの作品を選んでみた。
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●『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』(2022~2023年)
出演者(役名)/ソン・ヘギョ(ムン・ドンウン)、イ・ドヒョン(チュ・ヨジョン)、イム・ジヨン(パク・ヨンジン)、パク・ソンフン(チョン・ジェジュン)、ヨム・ヘラン(カン・ヒョンナム)
〔視聴ポイント〕韓国ドラマには復讐物語がとても多いが、登場人物を極限まで描き切った内容が従来にはないほど素晴らしい。高校時代に壮絶なイジメを受けたドンウンが、ヨンジンをはじめとする憎き同級生たちに凄まじい復讐を仕掛けていく。
本当に不気味なのは、始めるまでの18年間にあらゆる準備を終えていること。小学校の教師になり囲碁の達人になって復讐物語を完成に導いていく。そのプロセスが用意周到で、標的の4人が徐々に罠にはまっていく展開が見事だ。
●『悪の花』(2020年)
出演者(役名)/イ・ジュンギ(ペク・ヒソン)、ムン・チェウォン(チャ・ジウォン)、チャン・ヒジン(ト・ヘス)、ソ・ヒョヌ(キム・ムジン)
〔視聴ポイント〕14年間も愛し続けた夫がもしも殺人鬼だったら?……そんな問い掛けがドラマを引き締めている。平凡な人生を送っている男が、実は平凡とは一番遠いところにいるという恐怖がドラマ全体を支配しているのだ。
イ・ジュンギが演じるペク・ヒソンは、世の中をだまし続けて暮らしている。そんな男の過去を暴こうとするのが、刑事をしている妻のチャ・ジウォンである。果たして、娘もいて平穏な夫婦の生活がいつ破綻するのか。忍び寄る影がとても不気味だ。
●『クイーンメーカー』(2023年)
出演者(役名)/キム・ヒエ(ファン・ドヒ)、ムン・ソリ(オ・ギョンスク)、リュ・スヨン(ペク・ジェミン)、ソ・イスク(ソン・ヨンシム)
〔視聴ポイント〕舞台はソウル市長選挙戦。仕掛け人のファン・ドヒは巨大企業ウンソングループの戦略企画室長として凄い才能を発揮したが、会長ソン・ヨンシムと娘婿のペク・ジェミンに裏切られて退職に追い込まれた。
さらに、ジェミンがソウル市長選挙に出馬することになり、ドヒは一世一代の復讐を果たそうとして、人権弁護士のオ・ギョンスク(ムン・ソリ)を対立候補にかつぎだす。こうして激しい選挙戦が始まり、人間の尊厳をふみにじる修羅場が次々に展開されていく。
●『未成年裁判』(2022年)
出演者(役名)/キム・ヘス(シム・ウンソク)、キム・ムヨル(チャ・テジュ)、イ・ソンミン(カン・ウォンジュン)、イ・ジョンウン(ナ・グニ)
〔視聴ポイント〕未成年を裁く司法の場で、加害者と被害者の双方から問題の核心を多角的に描いている。キム・ヘスが扮するのは、未成年が犯した犯罪を裁く地裁の判事ウンソク。彼女には常識的な付き合いが通用しない。他人と迎合せず、ひたすら犯罪そのものを嫌悪していく。
そんな彼女の同僚になる判事が典型的な人情家で、人物描写の対比がとても興味高い。名優イ・ソンミンが演じる俗っぽい上司も、嫌みがあって人間社会の裏をよく見せてくれる。
●『シスターズ』(2022年)
出演者(役名)/キム・ゴウン(オ・インジュ)、ナム・ジヒョン(オ・インギョン)、パク・ジフ(オ・イネ)、カン・フン(ハ・ジョンホ)
〔視聴ポイント〕貧しい境遇の三姉妹が主人公。長女のインジュは建設会社で経理担当。二女のインギョンはテレビ局の報道記者。三女のイネは絵画が上手な高校生。この3人はインジェがからんだ会社の不正経理事件を発端にエリート階級の巨大な闇に吸い込まれてしまう。
特に、「謎めいた夫婦」の周囲で起こる奇怪な事件に3人が徐々に巻き込まれていく過程が刺激的だ。驚愕の表情を連発するキム・ゴウンの演技力にも圧倒される。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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