『愛と、利と』でムン・ガヨンが演じたヒロインを応援したくなる根拠とは?

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韓国JTBCで放送された『愛と、利と』は、Netflixでも同時配信されて日本でも多くの人が視聴した。主人公は2人。ユ・ヨンソクが演じるハ・サンスはKCU銀行のソウル市内の支店に勤務する誠実な係長だ。そして、ムン・ガヨンが扮するアン・スヨンは同じ支店の窓口係を務めている。

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サンスはスヨンに好意を持ちデートの約束をしたのに、銀行で起きたトラブルのために大幅に遅刻して彼女から無視される結果を招いてしまった。

そこから始まった『愛と、利と』は、スヨンが守衛のチョン・ジョンヒョン(チョン・ガラム)と同棲することになる。サンスも、大学時代の後輩だったパク・ミギョン(クム・セロク)が同じ支店に移ってきて恋人関係になっていく。

しかし、サンスはスヨンのことを諦めきれないでいる。そんな彼の揺れ動く恋心が描かれていくが、同時にスヨンが抱えている境遇もまたストーリーの中でとても重要である。

とにかく、銀行内部でのスヨンの立場が弱すぎるのだ。彼女は有能で仕事をそつなくこなしているのだが、高い学歴がなく身分も契約社員なので職場で正当に評価されない。

『愛と、利と』に主演したムン・ガヨン

苦難を乗り越えていく存在

たとえば、せっかく窓口に融資の相談に来た顧客がいるのに、上司はすぐに担当をスヨンからはずしてしまう。あるいは、サンスも新人のときはスヨンにすべて教えてもらったのに、時期が来れば、彼のほうがあっという間に立場が上になってしまう。

そんな屈辱をスヨンは受けている。対照的なのがミギョンだ。彼女は裕福な家で育ち、銀行でも若いのに「代理」まで昇進している。それは会社という組織では仕方がないのかもしれないが、地方の貧しい家の出身であるスヨンはいたたまれない。

それだけに、自然とスヨンを応援したくなってくる。

『愛と、利と』は愛の損得を描く側面もある。たとえば、愛は純粋な気持ちのままに成就できるものなのか、それとも、損得で考えないと獲得できないものなのか……そんな場面が最後まで続くドラマにおいては、何もかも恵まれたミギョンではなく、立場が弱いスヨンこそが苦難を乗り越えていく存在であってほしい。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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