韓国JTBCで放送中の『愛と、利と』がとても面白い。Netflixでも配信されているので見ている人も多いと思われるが、このドラマで主役カップルとなっているのがユ・ヨンソクとムン・ガヨンだ。
2人はソウル市内にある銀行の支店の同僚を演じている。ユ・ヨンソクが演じる係長ハ・サンスは誠実な人柄で顧客からも信頼を得ている。そして、ムン・ガヨンが扮するアン・スヨンは、窓口係の女性で仕事がとてもできるのに契約社員という扱いを受けている。
『愛と、利と』は2人の職場の様子を丹念に見せながら、生い立ちによって考え方が違ってくることや男女の心のすれ違いを描いている。
その中でハ・サンスはとにかくアン・スヨンが気になって仕方がないのだが、せっかくデートの約束をとりつけたのに職場のトラブルで大遅刻して彼女から無視されるようになった。
実際は、ハ・サンスもかなり遅れながら待ち合わせのレストランに全力疾走で向かっていた。しかし、大通りを渡ってレストランがあるビルの前に来たとき、どういうわけか躊躇(ちゅうちょ)した。そのままレストランに急げばいいのに、いったん立ち止まった後、そのまま来た道を戻ってしまったのだ。
本当に不可解な行動だった。そして、その場面をアン・スヨンはレストランの窓から見てしまった。
なぜ、ハ・サンスはすぐにレストランに行かなかったのか。大通りの横断歩道の真ん中まで戻り、そこでしばらく迷ったあとに、再びレストランに向かった。
しかし、店に入ったとき、すでにアン・スヨンはいなかった。
彼女は素早くレストランに入ってこなかったハ・サンスに失望して、先に帰ってしまったのだ。そして、自分の職場の立場を考えて損得で動こうとしたハ・サンスが許せなくなった。それが、アン・スヨンがハ・サンスを無視するようになった理由だった。
銀行における「出世」と「結婚」を天秤(てんびん)にかけるような行動を取ってしまったハ・サンス。そんなキャラクターをユ・ヨンソクは誠実に演じていて、『愛と、利と』は今後ますます佳境に入っていく。
文＝大地 康
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