ヒョンビンは、写真が雑誌に載る際に編集者を大いに悩ませるタイプの俳優だ。といって、編集者を困らせるわけではない。その逆に、嬉しい悲鳴をあげさせるのだ。
【写真】『愛の不時着』ヒョンビンの「らしさ」感じる真っすぐな「選択」をご存じか
というのは、ヒョンビンを撮った写真がたくさんあればあるほどどれも表情が素晴らしく、一つに選ぶのに悩ましくなる。私が雑誌の編集をしているときも、ヒョンビンの掲載写真には時間がかかった。どれもこれも載せたくて仕方がなかったのだ。
それほど絵になる男……ヒョンビン。彼の出世作となった『私の名前はキム・サムスン』を見たときは、当時人気を集めていた韓流四天王(ペ・ヨンジュン、イ・ビョンホン、チャン・ドンゴン、ウォンビン)の後継者は「間違いなくヒョンビン!」とすぐに納得できた。
それほど、ルックスが抜群で育ちが良さそうで立ち居振る舞いが完璧だった。ヒョンビンは、次世代の大スターが約束された存在となった。
しかし、その後に主演した『雪の女王』『彼らが生きる世界』『チング~愛と友情の絆~』は、視聴率の上では苦戦を強いられた。
作品性には定評があったのだが、大衆的な人気は得られなかった。それゆえ、あんなに輝いて見えたヒョンビンの笑顔も、ちょっと遠のいてしまった感じがあった。
そんなヒョンビンが輝きを取り戻したのが、『シークレット・ガーデン』の大成功だった。まさか、端正の顔立ちのヒョンビンが女性に変身するとは思わなかったが、同ドラマは彼の新境地を楽しく見せてくれた「ラブコメの傑作」となった。
以後、訓練が一番厳しい海兵隊を志願して兵役をやり遂げたヒョンビンは、映画の意欲作に次々に主演するようになり、独自の俳優の道を突き進むようになった。
「孤高のヒョンビン」
そんな高貴な雰囲気を漂わせていた彼は、かつて『シークレット・ガーデン』で大衆性を大いに発揮して大ヒットを飛ばしたように、今度は『愛の不時着』で北朝鮮の軍人を凛々しく演じて、自身最高のメガヒットを成し遂げた。
しかも、共に『愛の不時着』を大成功させたソン・イェジンと愛を育み、美しく華やかな結婚式を見せてくれた。
彼の俳優人生こそが、最高のドラマだと言えるかもしれない。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
■【写真】『愛の不時着』で大人気のヒョンビンが挑んだ時代劇の異色作とは?
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