1990年代前半にマンネリの指摘を受けて非難された韓国時代劇の制作陣たち。その苦境を救ったのが、1994年に実現した『朝鮮王朝実録』のハングル版だった。
これによって、一般の人が気軽に『朝鮮王朝実録』の記述を読むことができるようになった。そうした恩恵を受けて制作されたのが『龍の涙』である。
1996年11月24日からKBSで放送が始まったが、視聴率が49・6%に達して大評判になった。それ以来、史実を生かした時代劇が増えた。その中で傑作と評されたのが『王と妃』だった。
この時代劇は、15世紀中盤から16世紀初頭までの50年間の朝鮮王朝史を大河のように雄大に描いていた。
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特に世祖(セジョ)、成宗(ソンジョン)、燕山君(ヨンサングン)といった個性の強い国王の統治と人間関係を時系列でダイナミックに示していて、重要なこの時期の政治の流れを知るうえで最適な作り方だった。
この『王と妃』はKBSで1998年6月6日から2000年3月26日まで全186話にわたって放送され、最高視聴率44・3%の好成績を挙げている。このように、「朝鮮王朝実録」の記述を基に制作された時代劇が視聴者からとても好評で、時代劇の制作現場は大いに活気づいた。
そんな中でオバケと称されるほど爆発的な人気を博した時代劇が誕生した。それがMBCで1999年11月22日から放送された『ホジュン~宮廷医官への道~』である。
不朽の名著としてあまりに有名な『東医宝鑑』を書いた許浚(ホ・ジュン)の生涯を描いたドラマで、イ・ビョンフン監督が演出を担当していた。
主役に扮したチョン・グァンリョルは、「伝説の女優」シム・ウナがヒロインを務めた『青春の罠』で相手役を演じて注目され、今回の大抜擢につながった。そのチョン・グァンリョルが許浚を堂々と演じ、『ホジュン~宮廷医官への道~』の視聴率は驚異の63・7%に達した。
この数字は、歴代時代劇のナンバーワンである。まさに不滅の大記録と言える。
『ホジュン~宮廷医官への道~』の大成功によって、イ・ビョンフン監督は「時代劇の巨匠」と称されるようになった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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