20代前半は、人気俳優にとって一番華やかな時期かもしれない。ハツラツとした若さがあり、演技に関しても成長が著しくなる。しかも、主演作がヒットすれば、とてつもない自信につながる。
そんな時期を着実に歩んでいるのがヨ・ジングだろう。
彼は1997年生まれだ。彼を語るうえで特に強調したいのは、「目覚しい10年」を俳優として過ごしてきたことだ。
10年前、ヨ・ジングは『太陽を抱く月』のイ・フォン役を演じていた。このドラマの主役はキム・スヒョンだが、ヨ・ジングはその子供時代に扮していたのだ。
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このときの演技は強烈だった。難しいと言われる「泣く演技」をこんなに巧みに演じられる子役がいるのか、と率直に感激した。
場面はキム・ユジョンが演じた世子嬪が亡くなってイ・フォンが悲嘆に暮れるシーンだった。その喪失感をヨ・ジングは見事に表現していた。
この『太陽を抱く月』は40%を超える視聴率を獲得したが、序盤に演じたヨ・ジングの評判があまりに良すぎて、後に大人の役として登場したキム・スヒョンに大きな重圧を与えたほどだった。
この時点でヨ・ジングはすでに想定外の大物であったかもしれない。そのことを如実に示したのが、大人の俳優としてのスタートになった2016年『テバク~運命の瞬間(とき)』だった。このときは若き日の英祖(ヨンジョ)を演じている。
主役はチャン・グンソクだったが、文句なしのトップ俳優だった彼はヨ・ジングを評して「恐ろしい俳優だ」と言っている。
ヨ・ジングはまだ19歳だった。10代で英祖を演じたうえにチャン・グンソクから畏怖にも近い言葉をかけられて、その大物ぶりが顕著になった。
以後のヨ・ジングの活躍はめざましかった。それは、ドラマのラインナップを見ればよくわかる。誰もが知っているように、ヨ・ジングは20歳を過ぎてから主演俳優として一本立ちして、『王になった男』で国王と道化師の1人2役を巧みに演じ、以後も『ホテルデルーナ~月明かりの恋人~』と『怪物』で最高級の俳優であることを証明した。
これからもヨ・ジングは「恐ろしい俳優」であり続けるだろう。まだ24歳だが、彼の進む道には明確に「この先にある頂上」が見えているのかもしれない。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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