『ヘチ 王座への道』を見ていると、チョン・イルが演じる延礽君(ヨニングン)は、次から次へと苦境に陥っていく。とにかく、彼はピンチの連続なのだ。
特に、あまりに不当な扱いを受けたために殺人までおかした子供たちを少しでも救おうとしたことで、延礽君が徹底的に糾弾され、最後には世弟(セジェ)として廃位の瀬戸際に立たされた。
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彼には敵があまりに多すぎた。それは、本来は延礽君に罪があるわけではなく、権力を横取りしようとしている高官たちが延礽君をあえて陥れようとしているのだ。さらに、延礽君はあまりに正直で正義を貫いているので、狡猾な者たちが裏で手をまわして延礽君を罠にかけるのであった。
ドラマの中では、延礽君の「民衆のことを思い続ける心」が強調されている。それゆえ、彼は民衆の負担を少しでも減らそうと納税問題にまで言及している。しかし、民衆の税を軽くしようとすると、特権階級である両班(ヤンバン)の税負担が大きくなってしまう。
これに反発する両班はとても多く、高官たちもそうした両班の代弁者になっている。そんな高官が政治を仕切っているので、両班の負担を今までは減らせなかった。
しかし、延礽君はその問題点を指摘して改善を示唆する。こうして延礽君と両班の対立構造ができあがってしまうが、決して延礽君は孤立しているわけではなかった。
それが証拠に、数多くの民衆が延礽君を応援し、大きな声を挙げていった。
延礽君にとって、これほどうれしい励ましはなかった。
今や延礽君は民衆にとって希望の星である。しかも、世弟として次の国王になる可能性も高かったので、なおさら延礽君は国の将来に重大な影響力を及ぼしていった。
そうした中で、高官たちの中でも延礽君を支持する人たちが現れ始める。延礽君が政治の中枢で静かなる感動を生み出したのだ。
『ヘチ 王座への道』はそうした延礽君の築いていく「人のつながり」を細かく描いていく。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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