イ・ヨニが主演した時代劇『華政(ファジョン)』は2015年の制作だが、本当に見応えのある時代劇だった。
このドラマは、歴史を語るうえでも3つの特徴的な描き方をしていた。
1つ目は、イ・ヨニが演じた貞明(チョンミョン)公主の人生をとても詳しく描き切ったことだ。
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貞明公主は14代王・宣祖(ソンジョ)の娘であったが、これまで時代劇ではほとんど登場しなかった。それだけに謎めいた部分がとても多かったのだが、『華政』を通して貞明公主の知られざる人生が浮き彫りになっていた。
彼女は、朝鮮王朝で一番大きな土地を持った王女として歴史に名を残しているのだが、その堂々たる地主ぶりも『華政』では説明されていた。
こうして『華政』の主人公となった貞明公主は、このドラマを通して今の韓国でもよく知られるようになり、知名度が抜群に高まった。
『華政』の2つ目の特徴は、光海君(クァンヘグン)をとても人間味あふれる国王として描いたことだ。
1623年にクーデターで王宮を追われた光海君は、歴史的に暴君という言われかたもしていたが、チャ・スンウォンが扮した『華政』での光海君は情が深くて正義を大事にする人物像になっていた。
彼は兄や弟を王位継承の過程で殺しているのだが、その点でもやむを得ない事情を詳しく説明し、むやみに悪者には仕立てあげなかった。それも『華政』の重要な捉えかたであった。
3つ目は、キム・ジェウォンが演じた仁祖(インジョ)を能力がない国王として描いていたことだ。
クーデターを成功させるまでは、仁祖というのは統率力があったのだが、国王になってからは政治でも失敗ばかりだった。『華政』ではそんな仁祖を辛辣に取り上げていた。
過去の時代劇では、仁祖を名君のように登場させるものもあったが、その点で『華政』は容赦がなかった。これは歴史的にも説得力があることだった。
以上のような特徴を持った『華政』というドラマは、本当に中身の濃い本格的な時代劇だった。
主役のイ・ヨニも、当初は演技に対して批判されたのだが、後半はすばらしい存在感を見せていた。特に、感情を抑えた演技で多様性を示した。彼女自身もドラマを通して大いに成長したのである。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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