ドラマ『トンイ』もそうだったが、仁顕(イニョン)王后は聖女のイメージで描かれることが多い。
それだけ、純粋な印象を与える女優が配役されることが多いのだが、歴代の時代劇で仁顕王后にキャスティングされた女優を見て行くと、やはり『トンイ』で扮したパク・ハソンが一番人気が高かった。彼女は本当に仁顕王后の「聖女」のイメージを的確に表していた。
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歴史的に仁顕王后はどんな女性だったのだろうか。彼女は、1681年に粛宗(スクチョン)の二番目の王妃として迎えられた。
しかし、側室の張禧嬪(チャン・ヒビン)が粛宗の息子を産んだことにより、仁顕王后は1689年に廃妃となってしまう。そして、空席となった王妃の座に張禧嬪が就いた。
張禧嬪は、どんどん傲慢になっていった。しかし、彼女の栄華は長続きしなかった。粛宗が淑嬪・崔氏(スクピン・チェシ)を寵愛するようになったからだ。彼女はドラマ『トンイ』の主人公になった人物だ。
淑嬪・崔氏は、粛宗に仁顕王后の復帰を願い続けた。こうして仁顕王后は1694年に再び王妃となった。しかし、彼女は後継ぎとなる息子を産んでいなかったため、息子を産んでいる張禧嬪より立場がとても弱かった。しかも、張禧嬪は自分の部屋の近くに神堂を建て、怪しげな者たちを呼んで仁顕王后を標的にした呪詛を行なった。
結局、仁顕王后は1701年に亡くなってしまう。もしも仁顕王后が王の後継ぎとなる息子を産んでいたら歴史はどうなっていただろうか。そう思わざるをえないほど仁顕王后は悲劇的な王妃だった。
そんな仁顕王后を美しく演じきったパク・ハソン。本当に仁顕王后のイメージにふさわしい女優だった。彼女は2010年の『トンイ』が終わったあとも活躍し、最近では『平日午後3 時の恋人』や『産後養生院』ですばらしい演技を披露していた。
パク・ハソンはこれからも、多彩な演技でドラマを美しく飾ってくれることだろう。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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