『100日の郎君様』には様々な登場人物がいるが、その中で哀れさを感じさせてしまうのがキム・ソヘである。
女優のハン・ソヒが美しく演じているのだが、その役柄は「気の毒」としか言いようがない。いったい、どこが「気の毒」なのだろうか。
まずは、とんでもない父親を持ったということだ。
父親は悪徳高官のキム・チャオンで、王朝の政治を牛耳ろうとしてあらゆる陰謀を行なってきた。その末に、国王にまで影響力を及ぼせるほどキム・チャオンは巨大な存在になった。
そして何をやったかというと、自分の娘を世子嬪(セジャビン)に送り込んだのだ。
『100日の郎君様』は架空の物語だが、史実でも朝鮮王朝の高官が自分の娘を世子嬪に送り出したことが何度もあった。そういう意味では、欲深い高官が王族と親戚関係を持つというのはありうることであり、キム・チャオンもそういう政略結婚を仕掛けた。
それによって最大の被害者となったのがキム・ソヘだ。
夫はド・ギョンスが演じていた世子(セジャ)のイ・ユルである。
しかし、彼は世子嬪のキム・ソヘに対してまったく見向きもしない。夫婦とは言っても名ばかりで、一瞬でもイ・ユルは「キム・ソヘの側にいたくない」と拒否し続けている。
こうしてキム・ソヘは、「世子に床入れを拒否された世子嬪」という汚名を着せられる羽目となった。
やっぱり、とことん「気の毒」だ。キム・ソヘは夫に愛されることもなく、父親にはいいように使われ、女性としての幸せを微塵も感じることができなかった。
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その末に明らかになったことが、キム・ソヘが不倫の子供を身ごもったという驚愕的な事実だ。
果たして、そんなことがありうるのか。
実は、朝鮮王朝の歴史でも国王の側室が他の男性と不倫を行なったという疑惑が残っている。それだけに、『100日の郎君様』で世子嬪の不倫があったとしても不思議ではないのだ。
結局、イ・ユルが初恋の女性と再び愛情を確認しあうという展開とは逆に、キム・ソヘの境遇には悲しみが満ちている。
そんな彼女にどんな宿命が待っているのだろうか。
8月30日に放送される最終回の第16話で明らかにされるキム・ソヘのクライマックスを興味深く待ちたい。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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