『100日の郎君様』の主役コンビはド・ギョンスとナム・ジヒョンだ。2人は、田舎の夫婦を演じている。しかし、役柄の素性はまったく違う。
ド・ギョンスが扮するウォンドゥクは、元は朝鮮王朝の世子（セジャ）のイ・ユルだった。しかし、悪徳高官に命を狙われて記憶喪失になったまま村の青年に身を変えたのである。
一方、ナム・ジヒョンが演じるホンシムも、かつては高官の娘だった。良家のお嬢さんだったわけだが、悪徳高官の陰謀によって父を殺されて、兄と一緒に行方不明にならざるを得なかった。
結局、兄と離れ離れになり、自分だけ村でひっそりと暮らすことになってしまった。そんな2人が「かりそめの夫婦」になるというのが『100日の郎君様』のメインストーリーだ。
ホンシムは、ダメ亭主だったウォンドゥクに翻弄されるばかりだった。とにかく働くことを知らないし、世子だったので自尊心だけは異常に高かった。
そんな夫に呆れながらも、夫婦はしだいに愛情を芽生えさせていく。
特に見事だったのは、ナム・ジヒョンの変わっていく表情だ。村の生活に馴染みながらも、かつての良家のお嬢さんだったころの雰囲気を漂わせて、場面に応じて感情の機微をよく表していた。
子役時代から演技の経験が豊富なナム・ジヒョンは、長いセリフでもテキパキとこなし、リズムがいい。とても勘がいい女優なのである。
ナム・ジヒョンとド・ギョンスの息もぴったりだ。主役コンビの相性がいいので、ドラマも大いに盛り上がる。
物語の後半になると、記憶喪失になっているウォンドゥクが自分の身分に気付いて王宮に戻っていくことになるだろう。
そのときにホンシムはどのような対応を見せてくれるだろうか。哀愁に満ちたナム・ジヒョンの演技に期待したい。
文＝康 熙奉（カン・ヒボン）
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