コン・ユ主演の『トッケビ』は時代劇のキャラクター設定が面白い

2020年06月22日 作品情報 #康熙奉コラム
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日本でも大人気になった傑作ドラマの『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』。主役のコン・ユが演じるのは、高麗時代から900年以上も生き続けている驚異の人物なのだ。

といっても、この『トッケビ』が描く世界は、一連のタイプスリップものとは明らかに違っている。人間が時空を超えて他の時代に移っていくのではなく、900年以上も前の人間が現代までずっと生き続けているという設定である。

「ストーリーがあまりにも奇想天外!」

率直にそう思うのだが、超大物脚本家のキム・ウンスクの腕が冴えわたっている。

実際、『トッケビ』が描く世界は変わりすぎている。

(写真=『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』公式サイト)

その中で一番驚いたのが、コン・ユが演じるキム・シンが、胸に剣が刺さったまま現代をさまよっているということ。そして、「トッケビの花嫁」と呼ばれる女性を見つけて、その女性に剣を抜いてもらわなければキム・シンは安らぎの世界に行けないのだ。これだけ数奇な人物は他にいないだろう。

キム・シンの命運を握る絶対的な存在

そんなキム・シンが同居しているのが、死にゆく人々を天界に導く死神だ。イ・ドンウクが演じているが、その存在はどこかコミカルで、死神らしくない。そこがまたドラマの狙いでもあるのだろう。

キム・シンは、ようやく「トッケビの花嫁」としてウンタク(キム・ゴウンが演じている)と出会う。

この女性もまた普通ではない。自分にだけ幽霊が見えていて、キム・シンの命運を握る絶対的な存在にもなっている。

以上のように、『トッケビ』というドラマは、「こんなにも空想の世界を楽しませてくれるのか」というほどに神秘的だ。
その中に時代劇の要素もふんだんにある。

そんな世界に酔いながらふと考えてみる。「現代人の誰もが胸に剣が刺さったまま生きているのではないか」と……。

(文=康 熙奉/カン・ヒボン)

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