6月19日からテレビ東京の韓流プレミアで放送される『不滅の恋人』。このドラマに出演しているチュ・サンウクの演技力には定評がある。
演技の中で配役の意思を明らかにするとき、チュ・サンウクは表情が鮮明で言葉にも説得力がある。彼が著名な監督によく起用されるのも、演技の安定感が抜群だからだ。それゆえ、チュ・サンウクが出るシーンというのは見る人に記憶されやすい。そういう意味で、彼の存在感は強烈だと言える。
それは、『不滅の恋人』でも同じだった。
彼はドラマの中でイ・ガンという王子に扮し、国王の座に野心を燃やす。
さらには、ユン・シユンが演じるイ・フィという弟と張り合って、チン・セヨンが扮するソン・ジャヒョンの愛を強引に得ようとする。その挙句、周囲を巻き込んで悪評を撒き散らしてしまうのだ。
間違いなく悪役だ。
「チュ・サンウクが悪役とは?」
最初は驚いた人もいるだろう。しかし、俳優である以上、多様な役に取り組まなければならない。たとえ、非道な悪役であろうとも。
この点はチュ・サンウクもどう考えたのだろうか。
彼は率直に言っている。
「私が演じたイ・ガンという人物は、とても寂しい人でした。やがて王になって権力を持って何でもできるのですが、実は哀れで孤独な人だと思いました。しかも、悪い人間です。悪行の限りを尽くすわけですから、私も覚悟を決めて演じました」
チュ・サンウクが言うとおり、イ・ガンのモデルになっている首陽大君(スヤンデグン)は1455年に甥の端宗(タンジョン)から王位を強奪し、7代王・世祖(セジョ)として即位した。さらに、後に端宗を殺害している。
あまりに非道な男であった。
このような役をチュ・サンウクは強い覚悟を持って演じきった。彼がイ・ガンを演じたことで、『不滅の恋人』は人物描写が鮮明で善悪の違いがよくわかるドラマになった。やはり、チュ・サンウクは歯切れがいい俳優なのだ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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