「資産=力」の時代に、自分のお金を使って人を救うヒーローが現れた。Netflixシリーズ『CASHERO ~ヒーローは現金を持つ~』で、2PMジュノが再び大ヒットを飛ばしている。
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12月26日に配信開始された『CASHERO ~ヒーローは現金を持つ~』は、結婚資金や住宅価格に苦しむ会社員サンウン(演者ジュノ)が、「手に持っている現金の分だけ力が強くなる」という超能力を手に入れたことから始まる物語だ。生活費と超能力の狭間で揺れ動く、極めて“生活密着型”のヒーロー物語である。2PMのメンバー兼俳優のジュノが、主人公サンウンを演じる。
サンウンは、お金を大切にしながら、恋人ミンスク(演者キム・ヘジュン)との結婚や住宅の分譲申し込みを夢見る、堅実で倹約家の青年だ。
IMF通貨危機以降、家計が傾いた家庭で育ち、父のことを「無能な家長」としか思っていなかった彼に、父は思いもよらぬ“遺産”を残す。それが“超能力”だった。しかし、そこには重要な前提条件がある。手元にある現金の分しか能力を発揮できず、力を使えばそのお金は消えてしまうのだ。
代々受け継がれてきたその超能力でできることは、困っている周囲の人々を助けること。しかし、持ち物さえ中古取引に出さなければならないサンウンにとって、血のにじむような「自分のお金」を使って他人を助けるのは決して簡単ではない。
何も受け継がなかったと思いきや、まさかの“貧しさ”を受け継ぐだなんて。突然得た超能力への希望よりも、貧困への絶望がサンウンを包み込む。
息をするだけでもお金がかかる資本主義社会において、金は個人のどんな能力よりも優先される。経済的地位がそのまま社会的地位となり、財力が権力へと化す時代。超能力を拒み、貧乏から抜け出そうともがくサンウンの姿は、富や資産とは無縁になりがちな新社会人、すなわち現代の若者たちの心情を映し出しているかのようだ。
しかし、「大いなる力には大いなる責任が伴う」という言葉の通り、サンウンは目の前の危険を決して見過ごすことができない。職場では同僚のためにドアを押さえようともしなかった彼だが、重大な事故や他人の命が危険にさらされる瞬間には、必ず手を差し伸べる。
母が食堂の下働きで一生かけて貯めた3000万ウォンを渡された日もそうだった。ミンスクが切望していた住宅分譲の契約金になり得た大金を、見知らぬ他人の命のために使えるその犠牲精神がある限り、サンウンは紛れもないヒーローである。
貧しくとも、身近で人助けをする優しい隣人という点は、マーベルの『スパイダーマン』を想起させる。映画『アベンジャーズ』シリーズが企画される前まで、アメリカで最も人気の高いヒーローはスパイダーマンだった。貧しさという現実的な悩みを抱えながら市民たちを救う、隣に住む若者。その存在感を、韓国では『CASHERO』のジュノが体現している。
『赤い袖先』『キング・ザ・ランド』『テプン商事』と、近年の出演作ごとに高い評価を得てきたジュノは、『CASHERO』で再び自身の価値を証明した。
超能力を使うアクションも、貧しさと能力の間で葛藤する演技も安定感がある。特に本作で再発見されたのは、ジュノの“声”だ。サンウンの心情を伝えるナレーションにおいて、ジュノの低く落ち着いた声が人物の葛藤や思いを説得力あるものとして届けている。
このほか、ミンスク役のキム・ヘジュンは、『キングダム』シリーズでの冷酷な中殿とは思えないほど愛らしい姿を見せ、キム・ビョンチョルやキム・ヒャンギら超能力者仲間たちも、存在感だけでなく演技面でもサンウンを力強く支える。
現実の都市空間を舞台にした大規模アクションシーンも違和感がない。単に豪快で痛快なだけのヒーロー物とは一線を画し、貧しさと闘うサンウンの現実が息苦しく感じられる瞬間に差し込まれる痛快な展開と、共感を誘うリアルなヒーロー像が、確実に感動をもたらしてくれる作品となっている。
(記事提供=OSEN)
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