イ・ビョンフン監督は「韓国時代劇の巨匠」として称賛されているが、彼が『トンイ』を制作する時には新しい試みに取り組んでいる。その最たるものが張禧嬪のキャラクターを変えるということだった。
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張禧嬪は時代劇において最も出てくる回数が多い。「企画に困ったら張禧嬪を出す」というのが、かつての時代劇の作り方だった。
そういうドラマで描かれる張禧嬪は典型的な悪女であり、毒気が強い性格だった。そんな既存のイメージが視聴者の間にも固定していた。
しかし、イ・ビョンフン監督は『トンイ』において張禧嬪に新しい光を当てようと思った。それは知的で品のある張禧嬪というキャラクターだった。その雰囲気に合う女優としてイ・ソヨンが選ばれた。
彼女は『トンイ』に出演する時に、事前にたくさん準備をしようと思った。張禧嬪に関する資料や映像に目を通して自分なりにイメージを固めようとした。
しかし、イ・ビョンフン監督から指示されたことは、「台本だけを読んで他のことはしなくていいです」ということだった。つまり、張禧嬪に関して何も知らない状態で出演してほしいというのだ。
イ・ソヨンはびっくりしてしまった。しかし、イ・ビョンフン監督の説明を聞いてよくわかった。先入観を持たないことが大事であり、新しい張禧嬪を作るということにやりがいを感じた。
その中でイ・ビョンフン監督がイ・ソヨンに指摘したのは、発声方法と呼吸だ。時代劇に詳しいイ・ビョンフン監督は、発声方法と呼吸によって時代劇にふさわしい人物像ができあがるという信念を持っていた。その意図を理解したイ・ソヨンは、イ・ビョンフン監督からたくさんのことを学んで役作りに生かした。
こうして登場した「イ・ソヨンの張禧嬪」は、従来の悪役のイメージを一新していた。確かに、権力欲の強い女性として描かれていたが、ただの悪女ではなかった。知性的な面があり、落ち着いた品があった。しかも、イ・ソヨンが演じた張禧嬪は、『トンイ』の中で特に好評だった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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