朝鮮王朝の“ルネッサンス時代”とも称される第19代・粛宗(スクチョン)、第21代・英祖(ヨンジョ)、第22代・正祖(チョンジョ)の時代。この時代を舞台にした正統派時代劇の「朝鮮三部作」がある。
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脚本家キム・イヨンが手がけた『トンイ』『ヘチ 王座への道』『イ・サン』の3作がそれだ。
『トンイ』は、宮中の最下層・ムスリ(宮中で掃除や雑務を担っていた少女)から内命婦(宮殿内に住む王妃や側室、女官たちの総称)の最高位まで昇り詰めた、淑嬪崔氏(英祖の母/トンイ)と粛宗の物語を描く。
『ヘチ 王座への道』では、淑嬪崔氏の血筋を継ぐ“問題児王子”延礽君(イ・グム)を通じて英祖の青年期を描き、『イ・サン』では英祖の孫で改革派君主の正祖(イ・サン)の生涯を綴る。こうして、粛宗から正祖までの歴史のパズルが見事に完成した。
キム・イヨン作品の特徴の一つは、朝鮮時代の“専門職”に焦点を当てている点である。
『トンイ』では国家の儀式や行事、音楽を司る掌楽院を、『ヘチ 王座への道』では現代でいう検察庁にあたる司憲府を取り上げ、その内部対立を軸に司法改革や正義の実現など現代にも通じるテーマを提示した。
『イ・サン』では肖像画制作や画員育成を担う図画署を舞台に据え、あまり描かれなかった職能集団を物語に組み込んでいる。
政争の物語と専門職のエピソードを融合させることで、朝鮮王朝の“ルネッサンス時代”をより鮮やかに感じられる構成となっているのだ。
巧みな筆致で歴史を再解釈した『トンイ』『ヘチ 王座への道』『イ・サン』は、ぜひ続けて鑑賞したい作品である。
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