最近の韓国時代劇は、作品性が高いものが多い。具体的には、『赤い袖先』『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』『オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-』などである。この3本は夢中になって見ているが、本当に作品の出来がいい。
特に感じるのが映像の素晴らしさだ。『赤い袖先』であれば、陰影を巧みに使った構図が抜群に良かった。照明技術がどんどん上がって可能になったことだと思える。
『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』では、過酷な戦乱を描く場面とは別に、草原や海辺の風景などをダイナミックに捉えた映像が凄かった。ドローン撮影が効果を上げていることは言うまでもない。
また、『オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-』では、芸人たちが繰り広げる舞台がとてつもなく美しかった。特に、カメラが自在に動いてアングルをどんどん変えていくシーンにはゾクゾクさせられた。各時代劇では衣装の華やかさが十分に生かされていて、うっとりするほど見栄えがよくなっている。
以上は映像に関する話なのだが、もちろんそれだけではない。巧みに練られた脚本は、歴史のダイナミズムが感じられるし、人物の描写にもスキがない。本当に細やかなのだ。いい意味でメリハリがよく効いているので、飽きないでドラマを見ていられる。
さらに、俳優の演技力が素晴らしかった。『赤い袖先』ではジュノ(2PM)とイ・セヨンが演じる宮廷ロマンスが本当にドラマチックだったし、『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』ではナムグン・ミンとアン・ウンジンが表現する「戦乱の中で変わっていく愛の変遷」が芸術的だった。
『オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-』では、かつて悪役で名をはせたイム・ジヨンがイメージをガラリと変えて両班(ヤンバン)の夫人を理知的に演じて好評だった。
やはり、歴史ドラマは総合力の勝負だ。映像、脚本と演出、俳優……この組み合わせが高度に融合して、傑作がどんどん作られている。本当にこれからも楽しみだ。
文=大地 康
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