テレビ東京の韓流プレミアで放送中の『太宗 イ・バンウォン~龍の国~』は、5月8日の第24話で、チュ・サンウクが演じる李芳遠(イ・バンウォン)とパク・ジニが扮する閔氏(ミンシ)の不和が一時的に解消する様子が描かれていた。
【ホントウの太宗イ・バンウォン】史実の太宗は妻の一家を滅ぼした「恐ろしい国王」だった!
史実を見ると、李芳遠と閔氏の不和は深刻だった。その背景を見てみよう。
閔氏は、李芳遠が1400年に国王になる時に一番貢献した人だと言っても過言ではない。まさに一等功臣と同様だったのだ。ところが、李芳遠が国王になってから2人の関係は徐々に冷たくなっていった。その大きな理由となっているのが、李芳遠があまりにも側室を抱えすぎるという事情があった。
朝鮮王朝には27人の国王がいたが、その中で李芳遠は一番側室を持った国王と言われている。その数は12人。確かにずば抜けて多い人数である。そのように色に溺れていく姿を閔氏は常に李芳遠のそばで見なければならなかった。
儒教的に言えば、仮に地位のある人間が妾を抱えても妻は嫉妬してはいけなかった。それが身分制度を容認する儒教的な価値観なのである。しかし、閔氏はそういうわけにはいかなかった。自分の「内助の功」によって夫が国王になったというのに、途端に自分を差し置いて他の女性に耽溺することが許せなかった。
彼女は超名門の出身であり、父親は儒教の大家として多くの弟子を育てた人である。閔氏も本当に自尊心が強い女性だったのだ。それなのに、李芳遠は妻の立場も考えずに自分で思うように振る舞っていた。そのことが閔氏のプライドを著しく傷つけて、2人の夫婦関係が急速に冷めていった。
確かに李芳遠としては、ことさら「内助の功」を強調して政治に口を挟もうとする妻の態度が気にいらなかったかもしれない。このように、李芳遠にも言い分があるのだ。しかし、妻の立場をもう少し配慮してあげることも必要だったのでは……。
いずれにしても、仲が良かった夫婦も李芳遠が国王になってからすっかり状況が変わってしまった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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