『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』を見ていると、朝鮮王朝時代の王家の様々な衣装を見ることができる。その中で、最も格式が高いものを紹介していこう。
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国王が一番重要な儀式で着るものを祭服(チェボク)と言うのだが、最高の格式を誇ったの九章服(クジャンボク)である。
特徴は何かというと、9つの紋章が刺繍されている点だ。上着には5つの紋が入っている。それは、竜・山・火・チョンイ(宗廟の祭礼で使う杯のこと)・華虫(キジ)である。また、裳(前垂れ)には、4つの紋(藻、粉米、斧、亞という字紋)が刺繍されている。
そして、国王が九章服を着るときは、青玉(サファイア)でつくった圭(キュ)を両手でかならず持っていた。
冠は、冕旒冠(ミョンリュグァン)という独特なものだ。平天板(ピョンチャンパン)という、平たい板と頭にかぶる帽子で形成されている。平天板は外側が黒色だが、中は赤色になっている。さらに、冕旒冠の一番の特徴になっているのが、前と後ろに垂らす旒(りゅう)/玉をつないだ飾りのこと)だ。見た目にも本当に目立っている。
旒は中国古代の周の時代に作られたもので、周の制度では天子は12、諸侯は9の旒をつけていた。朝鮮王朝も、この制度にならっている。旒の数は12と9の2種類があり、青、紅、黄、黒、白の5色の玉で成り立っている。仮に9旒を採用すると、玉の数は162になっている。
次に、王妃が国家的な行事のときに着る大礼服を見てみよう。
大礼服の最高峰は翟衣(チョギ)だ。
生地には、金糸で刺繍した円形のキジ紋を51個も刺繍してある。そして、胸、背、肩に金糸で刺繍した五爪の龍の補(刺繍を指す言葉)を付けている。本当に格式が高い衣装だ。
さらに、際立っているのが頭にかぶるものだ。王妃が翟衣を着たときはかならず大首(テス)という翟衣専用のかつらを使った。髪が肩口まで広がった形になるもので、真珠やトルジャム(髪を華やかに飾る装飾具)などが付いていた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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