ハングルを制定した名君の人間らしさに迫った渾身作『大王世宗』【名作劇場】

2020年10月14日 スペシャル #名作劇場
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朝鮮民族の文字『訓民正音(フンミンチョンウム)=ハングル』を制定した功績を残したことで知られ、現在は韓国の1万ウォン札の肖像画にもなっている朝鮮王朝第4代・世宗(セジョン)の一代記を描いたドラマだ。

みどころの一つとして押さえておきたいのは、朝鮮王朝第3代王の三男として生まれ、のちに世宗となる忠寧(チュニョン)大君の成長、そして世子で兄の譲寧(ヤンニョン)大君を退けて王位につくまでの過程だ。

旧高麗勢力の反乱、外交的摩擦や政治ゲームを乗り越えながら王位に就くまでの道のりは、緊張感が張りつめていてかならず見る者を惹きつける。

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さらに同ドラマには戦闘シーンがまったくない。これは制作陣が当時の世宗が混乱した政局をどのように立て直すのかを表現したかったのだという。

まさに“人間の内面”が勝負のドラマだが、主人公の世宗を演じたキム・サンギョンのはまりっぷりは見事。「人間的な面を表現することに焦点を合わせた」と本人が言っているように、気弱で、失敗を恐れ、傷つきやすい青年が自らを恥じて名君へと成長していく“人間らしい王”を演じた。

世宗だけでなく、ほかの歴史上の人物にも現代的アレンジを加えることで、よりドラマに臨場感が生まれている点にも注目したい。

また、この時代に生まれたハングル文字や天文観測機器の製作、活版印刷や医学書の編纂など文化的な功績にも注目してほしい。2008年KBS作品。全86話。

(写真=韓国KBS『大王世宗』ポスター)


【あらすじ】朝鮮王朝でもっとも輝きを放つ世宗の一代記

高麗の将軍だった李成桂(イ・ソンゲ)によって朝鮮王朝が建国されたあと、太宗(キム・ヨンチョル扮)が第3代王に。その後、太宗は確固たる国家基盤を築くために強硬政治を進めていた。

やがて高麗復興勢力が台頭しはじると、それに対して太宗は虐殺まがいの処罰を敢行する。幼いころから民のために政治をほどこす大切さを考えていた太宗の三男・忠寧大君(のちの世宗、キム・サンギョン扮)は、強引な政治に反発。「過去の過ちを認めて、民のための政治をほどこすべきだ」と主張したことで、流刑にさらされる。

一方、忠寧大君の兄であり、世子の譲寧大君(パク・サンミン扮)は武術に優れ、カリスマがあったが、勝手に軍を動かしたり、女性問題などの素行不良によって、結局は王位継承から脱落してしまう。

その後、太宗が忠寧大君を世継ぎと改め、第4代王に即位させた。

それから世宗は、明の圧力や臣下の反対勢力に屈することなく政治を進め、朝鮮独自の文字や暦の製作などを目指し、さらには朝鮮が生んだ天才科学者のチャン・ヨンシル(イ・チョニ扮)とともに優れた科学技術も生み出していく。

だが、そこには保守派の激しい抵抗が待ち受けているのだった…。

構成=韓ドラ時代劇.com編集部

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