Netflixで配信されるや話題となり、日本ではシリーズ部門トップ10の常連になっている韓国ドラマ『あなたが殺した』。
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同作は、家庭内暴力から逃れるため、殺人を企てる2人の女性が、予期せぬ事件に巻き込まれていく姿を描いたサスペンススリラーで、原作は奥田英朗の小説『ナオミとカナコ』。日本では2016年に広末涼子と内田有紀のダブル主演でドラマ化されている。
韓国版では広末涼子が演じたデパート外商部のキャリアウーマンをチョン・ソミが演じ、内田有紀が演じたDVに悩む主婦をイ・ユミが熱演。原作が描いた「女性二人の極限状況」「友情と共犯」というテーマを、韓国的な社会背景・家庭環境・女性の立場を交えながら再構築している。
特にDV描写は壮絶で「本当に韓国でこんなことが起きているのか」と震えてしまうが、韓国では家庭内暴力(DV)がひとつの社会問題になっている。
韓国警察が公表している統計データによると、家庭内暴力の「検挙件数」は2017年に 38,583件 を記録。2019年には 50,277件 に増加し、過去数年で最も高い水準に達した。
急増の背景には被害者支援制度の整備とともに、家庭内暴力に対する社会的問題意識の高まりを背景に、通報・申告が活発化した結果と言われている。
そうした社会的問題意識の影響もあって、その後は減少傾向に転じ、最新の統計では2024年に 37,905件 まで下がっているが、件数の減少がそのまま実際の暴力行為の減少を意味するわけではないらしい。拘束(逮捕)人員は増加傾向にあるとされ、家庭内暴力に対する司法対応が年々強化されているという。
そうした社会背景の中で公開された『あなたが殺した』。韓国ではこの作品が鋭く切れ込んだテーマも高く評価されており、『ノーカットニュース』などは イ・ジョンリム 監督にインタビュー。「被害者の声を聞き、家庭内暴力(DV)を単なる個人の問題ではなく社会的な問題として提示した」として被害者視点の物語構成も評価した。
韓国では「単なるサスペンス」ではなく「社会問題を背景にしたクライム・ドラマ」として受け止められている『あなたが殺した』。日本ではどんな作品として評価されるか。引き続き注目したい。
(文=韓ドラLIFE編集部)
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