序盤から快調な展開となっているNetflix『テプン商事』。ジュノ(2PM)が扮する主人公カン・テプンは、父親カン・ジニョン(演者ソン・ドンイル)の急死によって立場がガラリと激変した。それまでは親のすねをかじりながらナイトクラブで遊べる身分だった。
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しかし、1997年に起こった経済危機によって韓国社会は沈滞し、テプンもその中で苦境にあえぐことになってしまった。
しかし、テプンには、「ピンチをチャンスに変える」情熱と創意があった。彼は、つぶれかかったテプン商事を立て直すために、自ら社長に就任した。残っていた社員は経理担当のオ・ミソン(演者キム・ミンハ)だけ。それでも、強力な味方になってくれた。
もともと彼女はとても能力がありながら、かつてのテプン商事ではお茶くみばかりさせられていた。
それは、学歴が不足していたからであり、学歴偏重の韓国社会では重要な仕事をまかせてもらえなかった。そんなミソンを新生のテプン商事では「主任」にした。そこに、社長テプンの心意気が現れていた。
彼は、もうミソンにお茶くみをさせなかった。テプンが自らミソンにコーヒーをいれてあげていた。そのときのミソンの驚きが印象的だった。
「社長が自ら動いて見せる」
それは当時の韓国社会ではありえなかったことだった。しかし、テプンは違った。適材適所という感覚を大事にする彼は、経済危機の中で新しい働き方を率先する先進性を備えていたのである。
テプンには、父親ジニョンの教えが生きていた。
「すべては人だ。お金より価値があるのが人なのだ」
父親が残したこの言葉を心に刻んだテプンは、会社を立て直すためにミソンと一緒に全力を尽くす。まず、2人は釜山(プサン)に行って、新しいビジネスを探そうとした。
なんといっても、釜山は韓国随一のエネルギッシュな街であり、商人たちがとても生き生きしている。その中で、テプンは自分なりの新しい社長モデルを築こうとしていく。失業者が街にあふれる経済危機の中で、『テプン商事』の奮闘ぶりがとても楽しみだ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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