緊張感とユーモアを行き来する展開、そして独創的な俳優陣のシナジーで好評を博している映画『仕方がない』が、“知るともっと面白いTMI(Too Much Informationの略で豆知識の意味)第1弾”を公開した。
【関連】イ・ビョンホン、共演したソン・イェジンの素顔を暴露!?「子役の質問に答えないから…」
本作は、人生が“これ以上望むことはない”と思えるほど満ち足りていたサラリーマンのマンス(演者イ・ビョンホン)が、ある日突然の解雇に直面し、妻と2人の子ども、そして苦労して手に入れた家を守るために再就職という自分だけの戦争に挑む姿を描く。
まず注目は、タイトルの『仕方ない』に込められた秘密である。公開前から「なぜスペースを入れずに書かれているのか」と観客の間でさまざまな憶測を呼んでいた。これについてパク・チャヌク監督は次のように語る。
「韓国では“仕方がない”を1つの感嘆詞のように、一息で“ああ…仕方がない”と発音する人が多い。その響きを生かすために、今回の表記を選んだ」
さらに監督は、候補に挙がっていた別タイトルも公開した。
1つは“クビ”、もう1つは“秋にすること”である。監督は「解雇の際に“お前はクビだ”と言うことから“クビ”が候補になった。また、秋に再びリストラの嵐が吹き荒れる前に再就職を成功させなければならない、という意味や、紅葉の美しい風景が一変して荒涼とした姿に変わる季節を扱おうと思ったので、逆説的に“秋にすること”という題も考えた」と明かし、タイトルへの興味をさらにかき立てる。
次に明かされたのは、主人公マンスが並々ならぬ思いを抱く“家”についてである。
自力で成功を掴んだ彼が苦労して購入した庭付きの2階建て住宅は、再就職を懸けた戦いに挑む大きな理由のひとつとなる重要な舞台だ。この家はかつて養豚場の敷地に建てられたため開発から取り残された地域にあり、山裾に位置して周囲に便利な施設や近隣住民もほとんどいない。
不便で資産価値の低い家でありながら、マンスが執着を捨てられないのは、転居を繰り返した幼少期にようやく落ち着いて暮らせた思い出の家であり、自分の力で手に入れて改修工事までやり遂げた場所だからである。
突然の解雇で生活が揺らぐ中でも、“この家だけは守る”という彼の執念は、観客の共感を一層強く引き出すだろう。
最後に紹介されたのは、パク・チャヌク監督が本作を通じて切り拓く新たな作風である。
2022年に公開され“ヘギョラ病”を巻き起こした『別れる決心』では、変死事件をきっかけに出会った被害者の妻ソレと刑事ヘジュンの間に生まれる繊細な感情を描いた。
一方『仕方ない』は、平凡な一家の大黒柱マンスと、再就職をめぐる人々の生々しい攻防を通じて、まったく異なる魅力を放つ物語を完成させている。
監督は「『別れる決心』が詩なら、『仕方ない』は散文である。前者が女性性を探求した作品なら、後者は男性性を描いた作品」と語り、対照的な鑑賞ポイントを提示した。
このように多層的なレイヤーで観客の議論を呼び起こす『仕方ない』は、劇場に特別な余韻を残している。
最後のTMIは、マンスを通して描かれる家父長制の素顔である。
映画は追い詰められ、自らの戦いを準備するマンスを同情的に扱わず、乾いた視線で観察し、彼が必死にしがみつく伝統的な男性性に疑問を投げかける。これについてパク・チャヌク監督はこう語った。
「マンスは非常に頑固な男だ。伝統的な家父長制が作り出した男性性という幻想と、『家長はこうあるべきだ』という強い使命感を抱いた人物である。その意味で限界がはっきりしている人間だ」「そうした男性性をどうにか守り抜こうとし、幻想に最後までしがみつく哀れな存在としての側面を掘り下げようとした」
また撮影監督のキム・ウヒョンは、パク・チャヌク監督の「マンスの競争相手たちは、どこかで『マンス』と自己同一化できる部分を多く持ったキャラクターだ」という言葉から撮影のヒントを得たと明かした。
そして「部屋に1人でいる人間を撮影するとき、それが果たして誰の視点なのか定義するのは難しい。そこにこそ映画の魅力がある」と述べ、観客を中立的な立場に置く特別な撮影の裏話を披露した。
極端な選択に直面するマンスに対して、同情や応援ではなく一定の距離を保てるよう設計された撮影手法は、観客に物語をより客観的に見つめさせる効果を持つのである。
こうして観覧の楽しさを一層増すTMIを公開した『仕方ない』は、豊かな見どころによって観客のリピート鑑賞を誘発している。
信頼の厚い俳優陣の共演、ドラマティックな展開、美しいミザンセーヌ、堅固な演出、そしてブラックコメディまでも盛り込まれたパク・チャヌク監督の新作映画『仕方がない』は、全国の劇場で絶賛上映中である。
(記事提供=OSEN)
■【写真】イ・ミンジョン、“両親ソックリな”息子の顔を初公開
前へ
次へ