思えば、『トンイ』に登場するチャ・チョンス(演者ペ・スビン)は、自分を犠牲にしてまでトンイ(演者ハン・ヒョジュ)を守り続けた男だった。もともとチョンスはトンイの兄の親友であった。
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子供の時に父と兄を失ってしまったトンイにとって、チョンスは「お兄さん」と呼べる存在なのだが、2人は離れ離れになってしまった。それからのチョンスは、ひたすらトンイを探し続けた。「命にかけて守る」と誓っただけに、絶対にトンイを探し出すという意気込みが強かった。
ようやく出会うことができた時、トンイは王宮の女官になっていた。すると、チョンスはトンイのことを好意的に見ていたソ・ヨンギ(演者チョン・ジニョン)の配下に入って、王宮の中でトンイを守り続けた。
彼女が様々な陰謀によって命を奪われかけて行方不明になった時は、粛宗(スクチョン/演者チ・ジニ)の命令を受けたソ・ヨンギと一緒に全土を回ってトンイを探した。
その頃トンイは義州(ウィジュ)にいたのだが、なんとか再び王宮に戻ってくることができた。その間、チョンスも本当に涙ぐましい努力を重ねていた。
なぜそこまで彼はするのか。もちろん、トンイがおさななじみだったことが大きい。彼女がひとりぼっちになった後に自分しか彼女を支えられないという強い覚悟を持っていた。
しかし、それだけなのか。実はトンイのことを心から愛していたからではないのか。だからこそ彼は死ぬほどの思いをしてもトンイを探すエネルギーがあったのだ。
そんなトンイが粛宗に愛されて承恩(スンウン)尚宮 (サングン)になった。側室になるのも目前だ。もはやチョンスにとってトンイは、手の届かない存在になってしまう。あれほどトンイを愛していたのに、結局はチョンスも「報われない男」のままなのか。
それでもいいのかもしれない。彼にとっての最高の幸せは、トンイが無事でいてくれることだ。自分の愛情を優先するのでなく常にトンイのことを考え続けているのが、チョンスという男なのだ。そういう意味で、チョンスは決して報われない男ではない。むしろトンイが幸せになることでチョンス自身も報われていくのである。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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