『マイ・ユース』で出会う心の余韻、ソン・ジュンギが紡ぐ静かな温もり

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韓国ドラマ界において、ソン・ジュンギという俳優は常に注目の中心にいる存在である。近年、日本ではFODで配信されている『マイ・ユース』に出演し、彼の新たな側面を見せている。

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この作品は派手な事件や大仰なメロドラマの展開とは異なり、観る者の心の奥に静かに染み入るような余韻を残す。その余韻を最も強く形づくっているのが、ソン・ジュンギの演技である。

彼が演じるソンウ・ヘは、人より少し遅れてようやく穏やかな生活を手にした男性である。決して英雄的ではなく、華やかな肩書きを持つわけでもない。

しかし、その平凡さこそが視聴者の心に寄り添い、まるで自分自身の物語を見ているような共感を呼び起こす。

ソン・ジュンギはその役を飾らない自然体で演じ、静かながらも強い存在感を放っている。とりわけ、過去の痛みを抱えつつも前へ進もうとする姿を柔らかく表現し、人間の持つ弱さと希望を見事に映し出している。

これまでの彼の代表作を振り返れば、その幅広さが一層際立つ。『太陽の末裔 Love Under The Sun』では軍服に身を包み、ユ・シジン大尉として演技を披露し、『ヴィンチェンツォ』では韓国系イタリア人弁護士ヴィンチェンツォに扮した。

そして『財閥家の末息子』では、スニャン物産未来資産管理チーム長ユン・ヒョンウとスニャングループ会長の末孫チン・ドジュンの2役を務め、多くの視聴者を魅了した。

ソン・ジュンギ
ソン・ジュンギ

人間の本質に触れる演技

これらの役柄と比較すると、『マイ・ユース』での彼は一段と穏やかで親しみやすい。

派手さを抑えた分、眼差しや息づかいといった細やかな表現が際立ち、繊細な感情の揺れを観客に伝える。

その演技は声高に叫ぶのではなく、囁くように心に届き、長い時間をかけて余韻として残る。こうした演技の引き算ができる点こそ、成熟した俳優としての証であろう。

さらに特筆すべきは、彼の持つ柔軟さである。どの作品でも役柄に溶け込みながら、その都度異なる表情を生み出す。

シリアスな法廷劇では冷徹な弁護士、アクション大作では力強い兵士、そして今回のような静謐なヒューマンドラマでは、誰もが共感できる一人の男。この変幻自在さがあるからこそ、観客は彼に飽きることなく、新しい物語へと誘われるのだ。

『マイ・ユース』を観終えた後、胸に広がるのは決して派手なカタルシスではなく、失われていた感情を取り戻すような静かな温もりである。

その感覚の核心にあるのは、ソン・ジュンギが生み出したソンウ・ヘという人物の存在である。彼の演技が作品全体の空気を支え、視聴者に“忘れていた心のかけら”を思い出させる。

つまりソン・ジュンギの魅力は、単なるスター性に留まらない。役柄ごとに全く違う姿を見せつつも、どこか人間の本質的な部分に触れる演技を届けるところにある。

『マイ・ユース』はその集大成ともいえる作品であり、彼の俳優としての成熟を確かめられる貴重な一作であるといえよう。

◆『マイ・ユース』概要

放送局:JTBC (2025年)
出演者(役名):ソンウ・ヘ(ソン・ジュンギ)、ソン・ジェヨン(チョン・ウヒ)、モ・テリン(イ・ジュミョン)、キム・ソクジュ(ソ・ジフン)、
監督:イ・サンヨプ(『ユミの細胞』シリーズ、『知ってるワイフ』など)
脚本:パク・シヒョン(『『それでも僕らは走り続ける』など』
配信情報:FODで配信中

文=大地 康

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