人間を描くのがドラマの本質だとすれば、韓国ドラマには、まさに「多様な人間の生き様をエンタメ流に表現した」作風が多い。その中で、友情と親子愛と郷土愛などをドラマチックに描いた作品には誰もが共感できるだろう。
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●『ストーブリーグ』(2019~2020年)
出演者(役名)/ナムグン・ミン(ペク・スンス)、パク・ウンビン(イ・セヨン)、オ・ジョンセ (クォン・ギョンミン)、チョ・ビョンギュ(ハン・ジェヒ)
〔ここが見どころ!〕低迷するプロ野球チーム「ドリームズ」に新しいゼネラル・マネージャー(GM) のペク・スンスが就任。彼のやり方があまりに斬新すぎて反発されるのだが、徐々に成果が出てくる。やがて、様々な問題をクリアしてチームが強くなっていく。そのプロセスが良質な群像劇になっていて、見ていて気持ちがいい。
野球が題材になっているが、ストーリーに普遍性があるので野球を知らなくても心から楽しめる。また、登場するキャラがみんな身近にいて親近感がある。
●『ミセン-未生-』(2014年)
出演者(役名)/イム・シワン(チャン・グレ)、イ・ソンミン(オ・サンシク)、カン・ソラ(アン・ヨンイ)、カン・ハヌル(チャン・ベッキ)
〔ここが見どころ!〕大手商社の契約社員チャン・グレを通して、組織に生きる人たちの悲劇と喜劇がまんべんなく描写されている。その中でも、オ・サンシクがとても魅力的な上司になっており、彼のチームの喜怒哀楽を感動的に見せてくれる。
さらに、ドラマの中では、新入社員の奮闘、社内の確執、パワハラやセクハラの実態、人事査定などが劇的に取り上げられていた。熾烈な職場を舞台にした人間ドラマとして最高峰レベルの作品になっている。
●『私たちのブルース』(2022年)
出演者(役名)/イ・ビョンホン(イ・ドンソク)、シン・ミナ(ミン・ソナ)、イ・ジョンウン(チョン・ウニ)、ハン・ジミン(イ・ヨンオク)
〔ここが見どころ!〕済州島(チェジュド)の美しい海を背景にして、人間くさい登場人物が続々とオムニバス形式で主人公になり、良質な人間ドラマを見せてくれる。とにかく涙が止まらない話が「新米海女のヨンオクと家族の物語」と「ドンソクと母の物語」の2つである。
特に、ドンソクが病の母と和解していくストーリーは秀逸で、イ・ビョンホンが演じた号泣場面は、韓国ドラマ史上でも屈指の名シーンだった。
●『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』(2018年)
出演者(役名)/イ・ソンギュン(パク・ドンフン)、IU(イ・ジアン)、パク・ホサン(パク・サンフン)、ソン・セビョク(パク・ギフン)
〔ここが見どころ!〕脚本が秀逸で、厳しい境遇の中で育ったジアンが人間らしい温かみに触れていく過程が丹念に描かれている。また、物語の中心となる三兄弟の地元愛と家族愛がたくさんの名場面を生んでいた。
その中でも、長兄サンフンが土下座させられたときに弟のドンフンが仕返しをする場面には泣けた。あるいは、ジアンの祖母が亡くなった葬儀でサンフンが男気を見せる場面も感動的だ。人間賛歌が全編にわたって貫かれている。
●『カーテンコール』(2022年)
出演者(役名)/カン・ハヌル(ユ・ジェホン)、ハ・ジウォン(パク・セヨン)、コ・ドゥシム(チャ・グムスン)、クォン・サンウ(ペ・ドンジェ)
〔ここが見どころ!〕戦争によって家族を引き裂かれた無念さがドラマ全体を覆っている。チャ・グムスンは朝鮮戦争の混乱の中で夫と我が子と離れ離れになり、韓国に逃げてきた。たった1人で悲しみを乗り越えて必死に働き、ついに巨大ホテルグループ「楽園」を作り上げた。
そんな彼女が北朝鮮にいた孫に会えるかも……という夢のような話が持ち込まれてきてドラマが大きく動いていく。孫になりすました偽者を演じるカン・ハヌルが素晴らしい演技を披露していた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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