今では、韓国のテレビ局がタレントを育成するというシステムがなくなったが、20年ほど前までは、3大地上波が毎年公募で俳優志望者を選抜する制度があった。そういう流れの中で、1994年にMBCの公募タレントに選ばれて女優デビューしたのがチェ・ジウだった。
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それから30年。チェ・ジウは変わらぬ美貌で活躍を続けており、つい最近でもTBSで放送された『ブラックペアン シーズン2』に出演して話題になっていた。
チェ・ジウは元来、明朗活発で感情表現がストレートなタイプだったのだが、女優になってからまわってくる配役は、どういうわけか内気で耐え忍ぶキャラクターばかりだった。「好きな人に自分の思いを伝えられない悲しい女性」というのが、20代のチェ・ジウの象徴的な役柄だったのだ。
たとえば、2001年の『美しき日々』でも、他人の幸せばかり考えて自分はすべての不幸を引き受けるような配役だった。ついたニックネームが「涙の女王」。プライベートでも自分の感情を抑える癖がついてしまった。
そんなチェ・ジウの「本来の表情」に期待したのがユン・ソクホ監督だった。この名監督は、フランス映画によく出てくるような「街を颯爽と歩く活動的な女性」のイメージをチェ・ジウの中に見ていた。
明朗活発な役こそふさわしいかも……そう考えて、ユン・ソクホ監督は『冬のソナタ』のユジン役にチェ・ジウを指名した。ドラマは2002年1月からKBSで放送が始まり、社会的にシンドロームを巻き起こすほど大人気となった。
それは韓国だけではなかった。2003年からは日本に波及した。ペ・ヨンジュンの人気も追い風となって日本で韓流ブームが巻き起こり、共演していたチェ・ジウも韓国の代表的な人気女優となった。
以後もチェ・ジウは話題作でヒロインを演じてきたが、それだけではなく、40代で出産して育児と女優を両立させている。今年は40代最後の年を迎えているが、『冬のソナタ』に出ていた頃と変わらぬ姿を見せてくれている。本当に、自立した生き方がまぶしい女優の1人と言えるだろう。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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