イ・ソジン主演の『イ・サン』とイ・ジュノ主演の『赤い袖先』。同じく名君イ・サンを主人公にした時代劇で、登場するキャラクターが共通することが多い。その一方で、まったく配役のイメージが違う場合もある。典型的なのが、王妃キム氏の描き方ではないだろうか。歴史的に貞純(チョンスン)王后と称されている人物だ。
【関連】『赤い袖先』のヒロイン、ソン・ドギムはどんな女性だったのか
このキャラクターの場合、イ・サンではキム・ヨジンが演じていた。一番強烈な悪役であり、イ・サンが世孫(セソン)の頃から即位を邪魔する存在として典型的なカタキ役になっていた。
演じたキム・ヨジンもアクが強い個性的な女優だ。陰謀をめぐらせる王妃の役を強い表現で演じきっていた。このように『イ・サン』というドラマは名君の道を歩むイ・サンと敵対する王妃の強烈な対立関係で成り立っていた。
一方の『赤い袖先』で王妃の役はどうであっただろうか。
演じたチャン・ヒジンは、印象が柔らかい女優だ。しかも、『赤い袖先』での王妃はイ・サンと敵対していない。前半においてはむしろイ・サンのことをかばう場面がとても多かった。実際、ソ・ヒョリムが演じた和緩(ファワン)翁主(オンジュ)という強烈な悪役が『赤い袖先』では目立っていて、その和緩翁主と王妃は対立関係にあった。
ドラマ『イ・サン』では違った。王妃と和緩翁主は協調しあう関係にあって共同でイ・サンに対抗していった。その点で『赤い袖先』とは描き方が異なっており、王妃と和緩翁主は強調するどころか敵対していた。その一方で王妃はイ・サンの味方をしていたのだ。
ただし、両方のドラマを比較すると、『イ・サン』での描き方のほうが史実に近かったかもしれない。『赤い袖先』ではフィクションを交えて王妃をもっと柔らかい人物に描いていた。それゆえにチャン・ヒジンという印象が柔らかい女優が起用されていて効果を上げていた。そのあたりをじっくり頭に入れて『赤い袖先』を見ると、このドラマの独自性が大いに見えてくると思われる。
文＝大地 康
■【関連】【『赤い袖先』の衝撃】チャン・ヒジンが演じる王妃キム氏の驚くべき一面
前へ
次へ
.jpg)
