【貞純王后の野望】『イ・サン』が描く水原遷都の闘争

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ドラマ『イ・サン』もクライマックスが近づいてきて、ストーリーの展開がどんどん早くなっているが、その中で焦りを示していたのが貞純(チョンスン)王后であった。

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イ・サン(イ・ソジン)が即位した後、貞純王后は存在が軽くなってしまっていた。イ・サンの最も信頼する洪国栄(ホン・グギョン)と関係を深めて貞純王后は新しい動きを見せていたのだが、洪国栄は失脚して流罪となり、その後に亡くなってしまった。これは、貞純王后にとっては大変な痛手であった。

その後はイ・サンが安定した統治を続けて国王として盤石な立場になってきた。そして、いよいよイ・サンは思悼世子(サドセジャ)の墓を都の北方から都の南方にある水原(スウォン)に移そうとした。この動きを一番警戒したのが貞純王后であった。

何しろ彼女は思悼世子を陥れた張本人の1人だった。それゆえイ・サンから敵視されるようになったのだが、そのイ・サンが思悼世子の墓を移すということは大きな政策の変更を意味していた。貞純王后にとって、絶対に好ましくないことなのだ。

それだけではなかった。水原に思悼世子の陵墓を築いた後、イ・サンは水原を都と同じ規模の大都市に作り変えようとしていた。ゆくゆくは都を水原に移す動きすら見せていたのだ。

『イ・サン』で貞純王后を演じているキム・ヨジン

目が離さない情勢

これは、貞純王后をはじめとして老論派にとっては大打撃であった。この人たちはすでに都で強固な既得権を持っていた。それなのに、都が水原に移ってしまったら、また一から体制を変えなければいけない。つまり、水原への遷都は、とりもなおさず老論派の没落を意味していた。

したがって、貞純王后は何が何でも水原への遷都を阻まなければならない立場となった。果たして、貞純王后はイ・サンに対抗できるだけの有効な手段を持っているのか。あるいは、水原への遷都は具体的にどのように進んでいくのか。そのときに貞純王后はどう動くのか。

ドラマ『イ・サン』は、最後まで目が離さない情勢になってきた。

文=大地 康

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